戦争の恐怖が近づいている今だからこそ読むべき作品 〜「ニーナとうさぎと魔法の戦車」〜
タイトル:「ニーナとうさぎと魔法の戦車」
作者:兎月 竜之介
イラスト:BUNBUN
僕が初めて読んだライトノベルです
なのでガルパンのような作品かと思う方もいるでしょう
…違います
シリアス全開の戦車作品です
- この世界に絶望した少女
生き延びるために強盗を続けているのが十二歳の少女である主人公ニーナ
弱者が強者に負けなければならない
利用されたり、バカにされたり、ひどい扱いをされても仕方がない
そういう考えになるほどこの世界に絶望し、命乞いをするなら悪いことをしてもいいという性格になってしまったのです
村から逃げてここまで生き残ってこれたのは悪事もさることながら、右胸の奥深くにある第2の心臓から注がれる魔法が使えたから
持参していた魔法板に魔力を流し込むことで危機を乗り越えてきたのです
そんな彼女は放浪した矢先ある結婚式場にたどり着きますが、この作品の世界はずっと戦争状態
結婚式を行われる光景を受け入れられないほど彼女は苦しんでいたのですが、ニーナは食に飢えてました
豪華な食事をを口にしたら止まらない…
そんな時に現れたのが黒いドレスに身を包んだエルザ
エルザが所持している魔法板は正規のものですが、ニーナの所持している魔法板は安物
その差は歴然…
自分のような弱者は命乞いするしかない
そう思っているときに現れたのが魔動戦車から現れた首なしラビッツのドロシー(戦車長)と操縦者座席から姿を現したクー
エルザとクーが喧嘩している隙にニーナは逃げ出そうとしますが、失敗
ただドロシーはニーナを保護しようとするのでした
そんなニーナはドロシー達が生活する事務所(結婚式二次会の真っ最中)に連れてこられるのですがメイドのサクラは怒り心頭
魔導戦車に搭乗していたキキに風呂に入れられ、二次会に合流するわけですが、ニーナの人間不信は深刻でエルザのからかいすら泣き出してしまう始末
目の前に出された食事を口にすることでようやく落ち着いたのです
※補足a
この作品の戦車は魔法板によって動かされているものであり、ガルパンや実際の戦車みたくレーバーで動かしているものではありません。また、動力も魔法。要するに1人1人が魔法を注いで戦車を動かしているということ。
- 初陣
ドロシーたちと出会った翌日、ニーナはすぐに出発を試みることにドロシーに見つかり失敗
ニーナが戦車乗りが大嫌いでドロシー達と居たくなかったのです
なぜならニーナの村は戦車隊に支配され
いた頃、居場所もなく共感者もいない
そんな日々から脱出できたのはニーナが大きな失敗(初潮が来た十二歳の誕生日に初潮が来て、野良戦車に集落を崩壊させられる)をして、木に吊るされていた夜に話し相手だった砲手の女性が手助けてくれたから
しかし、ドロシーは白々しい態度
なのでニーナはどんどん怒りを爆発させていく訳ですが、それは戦争が原因でこの世界を嫌いになったことを気づかせるためでした
その瞬間、野良戦車が一台出現し
迎撃することになりますが、ラビッツは砲手が寿退社したため現在不在(冒頭の結婚式は前砲手の結婚式でした)
故にドロシーは出陣するために5年間動力手を勤めていたニーナを代役に試みますが、戦車乗りが嫌いでラビッツのメンバーを死なせたくないため言い訳に必死
ですが
「野良戦車のせいで人間が傷つくのは嫌だって思っているんでしょう?」
というエルザの渇でニーナは乗車を決断します
そんなわけで戦車に乗り込むことになったニーナですが、
- 魔法板の多さ※戦術の要
- 寝ながら魔力を絶やさない動力手(クー)
- 野良戦車のデカさ
とこれまでの戦闘とのスケールとの違いにニーナは驚くばかり(といってもこれが標準なのですが…)で動揺するのは無理もありません
ただそれをクーやドロシーがフォローし、野良戦車(野良戦車は知識がない)が射程圏内に入った瞬間、周辺のススキに燃え移りはしたものの(勿論そのあと水鉄砲弾で消火してます)ドロシーの合図で戦車を撃破に成功!!
戦車撃破後、ニーナは戦車を倒した罪悪感を抱いてましたが同時に気づいたのは悲しみを背負いつつ戦争と戦っていたことこれまでの行為から羞恥心も生じますが、エルザとクーのやり取りを見てニーナは笑いだします
その後、事務所に帰宅しますが帰る家があって、ご飯もあることはニーナにとって幸せ以外何者でもなかったのでした
- 日常
クーの襲撃(?)でニーナは起こされ、リビングではエルザとキキはランニングをしていたとラビッツにも勿論日常はあります
上半身裸になったエルザはサクラに目撃されると口論になりますが(サクラ曰く露出狂)
…なおラビッツの食費はドロシーが妙な発明に食費を突っ込むので火の車(笑)(キキはドロシーに付け入る隙を狙ってる…)
キキの運転のもと、ニーナは仕事を探すためエルザと共に町へ行きますが、大人が苦手なニーナには辛すぎる指令(なおこの直前にエルザから「見つからなかったらソーセージ禁止」と言われ、号泣しています)
ちなみに、ラビッツのメンバーはというと
キキ…整備工
エルザ…パン屋のレジ係
クー…翻訳家
ドロシー…夢追い人
最後に突っ込んだら負けです
ラビッツが住むアンフレック町は中規模の町で治安の良さから商人が最近増えてる町
しかしながら仕事探しは上手くいかず、宛にできるのはパンプキン商会という酒場の掲示板に貼られた一件のみ
休憩中、ニーナは自分と同じ、もしくはそれ以下の子どもが学校に通っていることに衝撃を受けますがそこに現れるのはピジョンズの2人ことシンシアとモニカの双子(挿し絵見れば分かりますが美人です)
この2人、レズビアンでキキ曰く
「巣に招かれると新しい世界に目覚める」
ニーナも危うく目覚めかけました
そんなタイミングで登場したのが、この町の町長ドクター
ニーナが見つけた宛に出来る仕事(メイド募集)を募集していたのは彼です
ただニーナはなかなか仕事の話が出来ず…(キキが助け船)
それはドクターが怖いのではなく、優しくされたのが久しかったから
そんな空気を変えたのがマドガルド(特A級戦犯)の脱走
魔力爆弾を落とし、野良戦車を産み出した張本人です
この世界の戦犯とは「戦争のルールを破ったもの」ですが戦争にルールがあることにニーナは激昂
それ以上に印象的なのは職場からニーナを抱き締めたエルザの
「どうして黙ってるのよ!こういう時に何か言うのが大人でしょ!」
実はラビッツって、子供組と大人組に別れてていてエルザも子供組
エルザはニーナに声をかけない周囲に怒っているのです
いや、言えないんでしょう
声をかけたくてもかける勇気がないから…
マドガルドが殺されないのは戦時下にあるこの世界において利用価値があるから(①男性にも関わらず魔力が高い②兵器開発において有能)
それに対してニーナはある感情を抱いくことに…
帰宅後、食事の席は豆料理ばかりの(サクラからエルザやクーへの嫌がらせ(笑))
そこでドロシーは「一週間後、合同作戦に参加する!!」と宣言
ここからがこの作品の本領発揮です
※補足b
この世界で魔力は個人によって絶対的な強さが決まっています
「リリカルなのは」の世界みたく、誰もが魔法を使えるわけではないのです
ただ体を使用することで魔法を使いやすくすることは可能とのこと
- 悲劇
翌日ニーナはドロシーに連れられて再びパンプキン商会、2階の会議室へ
そこではピジョンズによる緊張感がない景気づけの宴会が行われているのでした
でもこれはコミュニケーションが苦手なニーナのために行われたもの
ピジョンズの2人はニーナと仲良くなりたい上に訓練不足であるニーナを指導することを約束してくれるのです
ベアトリーチェとドクターが来るとようやく会議らしい雰囲気に
今回のターゲットは現在は野良戦車の巣になっているポイントJこと旧第6沿岸基地
ここからの攻撃がここのところ倍になっており、このままでは近隣の村消滅が壊滅する恐れがあるため三十機を六つの小隊へ編成したアンフレック特別中隊でポイントJの魔力母体を破壊するというもの
この戦いに勝利すべく、ニーナは砲手の練習を決意するのです
それから数日経過した当日
ラビッツを含めた特別中隊は戦車が隠れるのに適した坂道の前に築いた陣地で待機
ドクターが送った偵察車両(要するに囮)がどうなっているかを待機中
ただ、ニーナはマドガルドへの憎悪が高まっているようで…(持参したラジオはエルザが回収、他のメンバーはというとドロシーは最終チェック、クーとエルザはいつものように喧嘩寸前)
そんなニーナに対し、キキはマドガルドの言葉を「悪魔の言葉」と称するのですが、同時にキキは魔法を使えないこともばれてしまいます(接続手なので魔法が使えなくても問題ありません)
ちなみに薬はピジョンズから提供してもらってますが、元々彼女たちは救護班に配属されていたナース戦車隊
だから手際が良いのです(なおニーナも特訓した結果、顎を痛くしてしまったため、湿布を変えてもらってます)
そんなピジョンズは今回の作戦に向けてある秘策を考えているのですが、偵察車両が戻ってくると状況は一変します
それは野良戦車が留守だったから
本来なら魔力母体のもとへ戻る習性があるのですが、別の魔力母体へ引っ張られるケースもあり
そのため本来は迎撃する予定だったのを危険性を少なくするため、進撃に切り替えたというわけです
発信準備が整うと、ドロシーの提案で視界拡張による捜索を行うことに
戦車不在を確認するといよいよ発進するのですがまもなくすると、先頭を走る小隊(それも重戦車ばかり)が突如として大爆発…
その原因は対戦車地雷なんですが、そもそも野良戦車は知識を持つわけがなく一同が困惑するなかで後退している最中
ドロシーは違和感を抱いている様子ですが…
更にピジョンズが直撃を受けたという報告も…
戦況は一変
無数の戦車が現れ、数で負けている状況に
そのためドクターの指示で西側の森に突入し、中戦車が先立ち、背後を重戦車が守っている状況ニーナはピジョンズが襲撃されたことを心配していますが無線機は壊されてしまったもののとりあえず無事な様子
防壁を張っている野良戦車に驚愕しつつもモグラ弾(名前の通りなので説明は略)で沈黙させると次々と野良戦車をニーナは撃破中
そんななか、後方にいたグレイライガー号からの無線を合図にラビッツは魔力母体の殲滅へ(後ろからピジョンズもついてきています)
その魔力母体とは対艦砲で子供組(ニーナ、エルザ、クー)は安堵しますが、直後に野良戦車波動を浴びることに…
ニーナはキキと、エルザはクーと抱きつくハプニングも起こりましたが(笑)
そんななか、共に殲滅に向かっていたフロッグ号の履帯が切れてしまい離脱
ラビッツは波動の方向に向かって移動するわけですが、基地に配備されていた対艦砲に衝撃を受けることになりどうしようにもネガティブな要素が飛び出す状況です
それを変えたのはドクターの提案
キキをアンテナ代わりにラビッツとピジョンズを連携させる作戦に出たのです
これによりようやくピジョンズと連携がとれ、ドロシーが作戦内容を連絡
その作戦とはお互いに最低二人は防壁に周り連携して防御、終わり次第最速で攻撃するというものです(ラビッツからはドロシー、ニーナ、エルザの3人が)
ドロシーの合図のもと、ラビッツは前進しピジョンズは後退
その瞬間に対艦砲が放たれますが、ラビッツが前進、ピジョンズが後退した故にかなりの傾斜、ならびに坂を登るが故に生まれた高低差で防壁を鋭角に
その結果、弾くことに成功し共同で発射された波動弾でようやく撃退に成功したのです
ただこの戦いの代償は大きく、ニーナが外に出ると凄まじい地獄絵図が…
そのうえ、ピジョンズの戦車が停車すると、シンシアが亡くなってしまったことをモニカから告げられてしまいました…
- 苦悩と襲撃
あの戦いから10日後…
ニーナはシンシアが亡くなったショック、ならびに戦車から離れて生活したい程に追い込まれドクターの元で働くメイドがいる寮にいました
あの戦いでは8名の死者が出たとのこと
メイド服に着替え、食事や食器洗い(40人分)を済ませると今度はゴミ捨てと昼食の買い出しをニーナは頼まれたのですが、ゴミを焼却する際、魔法板で火をつけたのを
ドクターに見られてしまい、「何故ラビッツに戻らないのか」と尋ねられることに…
その理由は今魔動戦車に乗ったら自分がおかしくなってしまうという不安があり、思わずアリの行列を踏みそうになったほど
ドクターにひっぱたかれ、近くを通ったベアトリーチェからは心配をされますが彼女の助けに乗ることなく、走り出してしまう…
魔導バイクを使って買い出しの道中、ニーナは道に倒れているクーを見つけ、道の脇にどかそうとしていると今度は魔動バイクでやって来たモニカに遭遇
そのときにクーが夢遊病(睡眠中に寝ぼけながら行動を起こす障害で現実にも存在します)であることを教えられ、クーを運んでくれるのですが、やっぱり声をかけられずむしろ励まされてしまうニーナ…
すると今度はジープに乗ったドロシーとエルザに遭遇
エルザにクーの寝相が悪化したことを報告され、タバコを吸おうとしたドロシーは口論(主にエルザからの年齢攻撃にドロシーが反撃する形)
しかしながらそのときにニーナの表情が笑ってないことをドロシーとエルザに気付かれてしまうんです…
ドロシーやエルザに質問攻めされ、ニーナがラビッツから出ていった本当の理由として、それは野良戦車たちを殺したい衝動に支配されていたことを伝えます
しかもその様子を想像するとニーナは楽しくなってしまう…
その上で、
「ドロシーさんやエルザさんみたいに友達が殺されても平気な顔をしてなんていられないんです!!」
と告白
これにエルザは涙を流してしまう…
そりゃあ、こんなこと言われたら悲しいですよ…
視線から逃げるようにニーナは立ち去ろうとすると、スピーカーからはマドガルドの声(しかも何故か映し出されている)
その声にニーナは殺気を立たせてしまうのですが、アナウンスが切れると町中から魔法
これにドロシーとエルザはジープに、ニーナは魔動バイクに乗って疾走しますが直後に、町の中心部に戦車が複数出現したという放送
ニーナが驚愕するなか、目前に現れた大型野良戦車に
「それは放火するための魔法なんかじゃない!」
と叫んでしまいます(こう叫んだのはニーナも本当は戦車をかわいそうと思っているからでしょう)が、その直後の戦車の行動を見てステルス戦車だと確信します
ドクターの事務所に戻り執務室に入るとドクターは町の首脳陣と会議中
ドクターに合図されたベアトリーチェはニーナに逃げるように伝えるのですがマドガルドと戦うからとニーナは拒否
当然ベアトリーチェは辛そうにしますが、ニーナのこの行動、それは勇敢に立ち向かうのではなく「人を殺す」殺意に動かされたもので…
魔動バイクでラビッツの事務所へニーナは向かうとちょうどラビッツのメンバーは乗車している最中で、ドロシーに乗せてもらおうと懇願するもそれをドロシーは拒否
それでも乗せてもらおうとニーナは頼みますが、「殺す」という言葉にドロシーは激怒
その後ニーナを癒しながらドロシーはニーナがやろうとしていることは戦争、そして憎しみが心の傷を癒すことはないと伝えます
なぜならドロシーが昔戦場に立ち、復讐がむなしいこと、人を恨みながら生きるのは悲しいと知っているから
それでもニーナは納得できずにいますが、ドロシーは幸せについて、
×:憎い相手を殺し、殺人という罪を起こし、鬱々と暮らす
○:世界中の人を悩ませた悪人を鼻で笑い、亡くなった人たちのことを尊び、未来に向かって毎日楽しく生きていくこと
と伝えます
その上でマドガルドに負けないこと、全世界の人間がマドガルドに向かってノーと言えるように、野良戦車と全世界の兵器を根絶すると語ります
同時にニーナに幸せになって欲しいとも
加えて、
エルザ:アーケシア帝国に領地を持つ貴族の娘だが、帝国の徴発に抵抗→目の前で一族は銃殺→唯一の生き残りに…
キキ:生活苦故に志願兵になるも特効兵器に乗せられることを拒否→上官から暴行を受け、第二の心臓負傷→魔法が使用できなくなる…
クー:名門学校に通う飛び級の天才児だったものの、魔力爆弾の影響で夢遊病に→成績不振で学校を追い出される…
サクラ:祖国が魔力爆弾の爆心地で留学中に家族や友人を殺されてしまう…
ドロシー:戦争で魔法を食らい、子供の産めない体に…
とメンバーの悲しい過去が明かされるのです
そして首なしラビッツと呼ばれる由縁、それは「奪った首が1つもない」から
「相手が悪意で攻めるなら、こちらは善意で反撃しよう」
ドロシーのこの一言で「答えは復讐じゃない」と気付いたニーナ
その上でもう一度乗せてくれよう、懇願しドロシーは受け入れるのです
とはいっても実はニーナ、メイド服のままラビッツの事務所に来たので、サクラからラビッツ同じのユニフォームを受け取ってから乗車
ただ、発進しようとした瞬間に異変が
なんとポイントFを有する山が移動要塞化、
マドガルドが現役時代に打ち出した案を現実にしたうえに、野良戦車を支配下に…
流石は鋼鉄の悪魔と呼ばれている男
そんななかでドクターは透明戦車と移動要塞を倒すように依頼するのですが、ニーナは
「…あれを倒すんですか?この戦車で?」
- 決戦へ
アンフレックの町中へ向かう道中、片っ端から無線連絡したり、ピジョンズと連絡を取ったり、キキが作戦提案したりするも決定打となる作戦は浮かばずラビッツは苦悩中
透明洗車を見つけるのはそれだけ難しいのです(ハリーポッターでいう透明マントをした状態で移動してますから)
これにクーは継続的に何かを引っかけ続けることを提案し、ニーナは「水鉄砲弾」を提案
でも雨が降った方が好ましい…
ただその時に爆発が発生
これをきっかけに水に関係するものを壊すようドロシーは指示して突破口を開きますが魔法名…(キャッチ・ザ・レインボーはダサい(笑)、ん?「レインボー!!」、頭が…)
水に関係するものをぶっ壊したせいでスリップしやすい状況に
でもエルザが飛ばしまくるのでラビッツは高速運転、ニーナも砲撃しまくり(笑)※絶対真似しないように!!
そんななかでラビッツとピジョンズが合流すると、ドクターは秘密兵器「アンフレックシステム(動力源は事務所で働いているメイドや女性職員100人以上)」を投入
未来予知を行い無理な回避を可能にするとんでもないシステムです
逆に悪用されれば大変なことになりますが…
その上でニーナたちは防御魔法にスイッチ
一気に加速するわけですが、そこに響くのはラビッツやピジョンズを挑発するマドガルドの声
が、ニーナ達は動揺せずむしろドロシーが、
「六十秒後、移動要塞は動けなくなる」
と予言するほど自信がある様子
そして六十秒後、ドクターの指示でラビット号とピジョン号は寄り添うように停止
その上で総勢百門の長距離砲をラビット号とピジョン号が合同で展開した防壁で移動要塞の関節部を粉砕
もう立てない状態にまでなりました(ピジョンズのメンバーは出血が酷いことになってしまいましたが…)
しかしながらドロシーはマドガルドはどこにいるのかという疑問を
キキがドクターに無線で通信している最中、マドガルドは「カウンターマジック(魔法板も通信などありとあらゆるものを無効に)」で反撃
ラビッツ全員は耳鳴りを喰らい、通信用の魔法板が焦がされてしまいます…
更に今度は移動要塞が鉄人化(以降タイラントと明記)
ラビッツも唖然とするほどでエルザに至っては拳に車体を叩きつける事態
絶望、更に追い討ちをかけるようにマドガルドの声が響くのですが、そんな状況でも怒号を挙げ、キキは決意を
加えてニーナはエルザやクーを励まし、マドガルドに対して、宣戦布告
そのなかでも
「幸せになるために戦うんだ。あなたが終わらせなかった戦争を…今、ここで終わらせるために戦うんだっ!」
が印象的
ニーナの成長を感じさせる台詞であり名言です
直後、マドガルドが攻撃を開始しラビッツは回避することなく加速し迎え撃とうとしますが、タイラントの着地にラビット号は吹き飛ばされ、クーはこの加速が原因で限界に
それどころかタイラントから放たれたレーザー光線に備えて防壁を張った結果、ドロシーも限界寸前…
更にニーナのマウスピースまで途中で千切れ、ドロシーのマウスピースまでも…
まさに絶体絶命
そんな時、なんとキキは配線の代わりになると宣言
当然キキの負担は半端ではありませんが(感電しているようなもんですからね、後にコミカライズ版紹介しますが想像するだけで…)、ここで負けたら全てが終わる
そう覚悟してでしょう
タイラントに接近してはかわすという動作を繰り返し、踏みつけ攻撃が炸裂する瞬間に放射したのが手に入れたばかりの「電撃弾(魔法板を焦げ付かせ、配線を焼ききるもの…報復とも見られかねない…)」
接近戦専用でしかも殴るようにしないと意味がないのですが、それを2発的中
右足にも左足にも命中させ四つん這い状態に追い込むのです
マドガルドの言葉に対して、
「あなたが馬鹿にした愛や、友情や、優しさが…私たちの心を強くしたんだ!あなたが壊してきたものがどれだけ強いものなのか、今ここで思い知れ!」
とニーナが叫ぶとタイラントの攻撃をしのぎつつ、地面にめり込んだ右手から登坂し、砲身を失いつつも砲身があった場所に魔法板を重ねそこから魔法弾を発射しとどめ
そして目を覚ましたあと、マドガルドに勧誘されるもニーナは、
「みんなが幸せになれるように戦いたい!飢えた人たちが犯罪に手を染めないように、この世界をもっと平和にしたい!だから、私はあなたと手を組んだりなんかしないんだ!」
と拒否
そのうえでマドガルドに謝罪させ、ようやく戦いは終わったのです
それから3ヶ月後、ドロシーの退院祝いもといニーナのラビッツ入隊パーティーでニーナは家族を探しにいくことを発表
「みんながどこにいるか分かるように」と用意したタグをラビッツの皆に渡して、旅立つところで物語は終わります
- 総括
ライトノベルなんですがライトノベルらしからぬ重い描写が多いのが特徴
百合要素もありますが、基本的にはシリアス色が濃くこれはこの後のシリーズでも続きます
今日、いつ戦争が始まってもおかしくない状況
なんか挑発したり武器の必要性を説いたりする方がいるようですが、悲劇は悲劇しか生みません
この作品に出てくる野良戦車だって悲劇の象徴
戦争さえなければこんなことしなくて済んだのですから…
個人的には今一番読んでほしいラノベです