新しい現代が彼に気付かせたものとは 〜「ぼくたちのリメイク 4」感想〜
タイトル:ぼくたちのリメイク4
作者:木緒なち
イラスト:えれっと
ぼくたちのリメイク4巻
分岐点となる重要なエピソードです
- 現代に戻ってきちゃった!?
前巻のラストで突然11年後に飛ぶ事態となり、誰もが驚いたでしょう
しかも恭也、シノアキと結婚して子供もいるし!!
タイムリープものといえば過去に戻って悲劇を変える作品が多いですが、この作品はそういう系統ではない
だからこそ出来る離れ業です
とはいえいきなり11年後の世界に飛ばされたら戸惑わない訳がない
だって11年前の自分にホークスが3連覇するって言っても信じるわけないでしょ(笑)※ホークスファン歴17年、2009年シーズン開始前は最下位のショックがまだ消えてなかったため
なので恭也は仕事先で記憶喪失を装って情報を集めることにしますが、恭也はプロジェクトチームBのリーダー
同じ社内には河瀬川がプロジェクトチームAのリーダーとしています
流石というべきか(笑)
しかも恭也の仕事はゲームのプロデューサー
2016年と比較したら遥かに恵まれてます
ただ2018年は彼にとって素晴らしいものだったかというと…
- 絶望の未来
改編された2018年においてシノアキはなんと絵を描くのを辞めてます…
1巻であんなに努力していた彼女に何が…
しかも貫之は3巻の結末もあって作家ではなく実家で働いている日々をブログで綴ってますし、ナナコは動画投稿を辞めてしまっている
「自分の行動が未来を変えてしまった」
そんな罪悪感に取りつかれ、恭也は酒に溺れてしまう…
物語シリーズの傾物語を連想させる展開ですが、あの時阿良々木くんには忍というパートナーがいた
けど恭也には頼りたくても頼れる方がいない
「この日々を受け入れるしかないんだ」
そうして生活に適応してきたとき、リリースされた会社のソーシャルゲームが炎上
その対策に動くため恭也も動くのですがある動画が恭也を絶望の淵から救いだす…
- 河瀬川が気付かせたもの
ある動画に勇気付けられた恭也はクビ覚悟で社長に次々と提案
最初社長は難色を示しますが、恭也は他の社員からも大きな賛同を得ることになりなんとか炎上は終止符へ
ですがこの直後、河瀬川が空港へ
というのも河瀬川のチームはリリース前、納期に間に合うか分からない切羽詰まった状態
しかもその負荷が河瀬川に集中しているのではと恭也は危惧していたのです
実際、空港に向かったのはリフレッシュ休暇でしたが(汗)
ただ、河瀬川は空港で
「なんで、なんであんたは誰にも助けを求めないの?自分で何もかも全部やろうとするの?」
と問いただすのです
振り返ってみましょう
1巻でカメラを間違えたとき、2巻でナナコを呼び戻すとき、恭也は手伝ってもらった
でもそれは助けを求めたわけではありません
助けを求めるというのは相談するということ
3巻ではそれが特に顕著に出てましたよね?
焦って誰にも頼らなかったからああなってしまったのでは…?
なお貫之離脱後は恭也がライターも掛け持ちしていたそうですが、あなたは冴えカノの倫也ですか(笑)。
ただ倫也は詩羽に指導を受けた経験があるので、土俵が違いすぎる。しかも恵という相談相手がいた。これが最大の違いだろうな…
そして、河瀬川と別れたあとケーコさんと遭遇し再び過去に戻ることになるのですが、その理由は「みんなともの作り」がしたいから
幸せよりももの作りを選んだ
ようやくここからスタートに立ったというわけです
- To Be Continued…!?
でこの巻ではある重要キャラクターがいます
ここまであえて触れずにいきましたがそれは斎川美乃梨
2018年世界における人気イラストレーター
好不調の波が激しいのが難点ですが…
彼女はこの巻では恭也がいる会社が制作しているソーシャルゲームに関わるイラストレーターとして登場
ただ、今後もストーリーに関わる可能性大です
というのは3巻で恭也達が製作したゲームにインスパイアされた人物だから
しかも2007年に戻った後、ある場所で…
この巻ははこれまでのようなギャグもほとんどない終止シリアスなエピソード
タイムリープを逆手にとり、しかもたどり着いた先が変わっていた未来
でもこの巻を木緒先生は「書きたかったエピソード」と話したのは、恭也の本当の物語が始まるために必要なきっかけだったからでしょう
ただ気になるのはケーコさん
彼女、何者なの?
そもそも2度目のタイムリープって彼女が発端だよね?
魔女かなにかなのか?
執筆時点では7巻まで刊行中
6・7が再びシリアス強そうなエピソードなので、次の5巻が初期の雰囲気が戻ってくるのかな?