最後に残ったのは絶望か、それとも…〜「いつかここにいた貴方のために/ずっとそこにいる貴方のために」感想〜
タイトル:「いつかここにいた貴方のために/ずっとそこにいる貴方のために」
作者:西塔 鼎
イラスト:Enji
タイトルが長すぎる(笑)
以前紹介した「優雅な歌声〜」同様、年明けに表紙買いした作品
口コミも見てないしあらすじすら見てません(笑)
タイトルが長いのは置いといて、この作品「結構重いな…」という印象を抱きました
- 現在と過去
この作品の特徴は現在の話と過去に起こった話を行き来していること
現在の話がインターリュードとなり、物語の軸である過去に繋がる構成にしているのです
世界観としては「ニーナとうさぎと魔法の戦車」のような世界観
ただあちらの作品は首なしラビッツという希望の象徴がいるのに対し、こちらの世界にはそんなもの存在しない
失敗した世界(軍人から記者に施設や事件を説明する形式)から過去を振り返る
そう話すべきでしょうか
まあ希望的存在はあったと言えばあった
しかし…
- 「聖女」と「不死身」
その希望が「聖女」という存在
簡単に話せば魔法使いですね
表紙に映っているヒロイン四月がその1人で、敵を凍り付けに出来る恐ろしい能力を持っているわけです
要は化物
ただ戦闘のための道具という感じで外の世界は何も知らないのです
そんな化物と偶然出会ったのが主人公のレンカ(倒れているところを教会で見つけ、四月の頼みで薬を刺す、なお四月という名前はレンカがつけたものです)
数々の戦闘から生き延びてきた「不死身」と呼ばれる存在
でも生き延びてはいるものの希望はない
ただ生きている
そんな日々を送ってました
そんな2人が出会うことによって少しずつですが希望が生まれ、レンカの仲間であるカイやシャルも後々一緒になって毎日が少しずつ楽しくなっていくのです
なかでも面白いが4人で演劇を見に行くシーン
この演劇がほぼ「白雪姫」のオマージュなんですが、そのクライマックスを観客が演じることになりレンカと四月が演じることになるんですがここで四月が大胆な行動を
こんな日々が続いてく、誰もがそう思っていた…
- この世界には希望はあるのか
しかしその演劇を見たあと、体調を崩し回収される四月
その後四月を軸とした作戦が実施されるのですが、その作戦中に四月の力が暴走
駆けつけたレンカの呼び掛けでなんとか正気に戻るもののこの暴走によって彼女は要済みに…
というのも四月をはじめとする「聖女」は作られた人間(だから抑制薬が必要)
最終的に「箱庭」という場所に帰されてしまう=もう出歩くことも出来なくなってしまうのです
それを知ったレンカは逃げるべく仲間と共に作戦を起こしますが…
結論からいってこの作戦は失敗に終わり、レンカたちは社会的に「死にます」
四月も「箱庭」に移され、これを読んでいるだけでは救いのない結末に見えますよね?
ただ終盤のページまで読んでこれたなら心にがグッとなるはず
それでも「ニーナとうさぎと魔法の戦車」と違ってシリアス度がかなり高いので少し読みにくい印象を受けましたね
でもこれ読んでいるとやっぱり戦争って糞だなと思わずにはいられない
違う形で四月とレンカが出会えたらと思うと…
なおこの作品は昨年刊行されたばっかりですので書店やオンラインストアでも普通に入手できます
シリアスな作品が好きな方には合うかも