現時点での答えは 〜「三角の距離は限りないゼロ 4」感想〜
タイトル:三角の距離は限りないゼロ 4
作者:岬 鷺宮
イラスト:Hiten
「三角の距離は限りないゼロ」の4巻
衝撃の結末だった文化祭から物語は修学旅行へ
いよいよ前半が完結します
- 波乱の修学旅行…!?
前巻のラストで秋玻から「別れ」を告げられた四季
文化祭以降の四季はもう別人になってしまいました
身体から中身が抜けた空っぽのような存在になってしまったのです
その上で秋玻と春珂はこうなってしまったのは自分達の責任と感じ、修学旅行(宮前高校の修学旅行は3日間で大阪、京都、奈良を訪れる色々ハードな修学旅行です)を通じて四季を元に戻そうとするのですがその修学旅行のグループ分けは他のクラスメートと組めるということ、更に男女の制限がないということもあり、
A:古暮(2巻で修司にコクった女子)、Omochi(3巻で登場したトラックメイカーであり、古暮の従姉妹)、晃、四季
B:秋玻/春珂、伊津佳、修司、時子
となってしまうのです
こうなると四季と秋玻、春珂の過ごす時間が減ってしまうのは必然…
しれっと晃と時子が巻き添え食らってないか(笑)※ちなみにこの巻でようやく時子や古暮、Omochiも挿絵が描かれます。時子の容姿はあまり変化してません。
それでも移動時間など限られた時間でも四季と接しようとしますが、思わぬ障壁となったのはまさかの伊津佳
伊津佳が旅マニアなのでこういう旅行のこだわりが半端ないのです
なので秋玻と春珂の願いはなかなか叶わない…
こう書くと修学旅行もシリアステイストなのかと思ってしまうかもしれませんが、これまでと比較するとこの巻はコミカルです
伊津佳が秋玻達を振り回したり、四季と秋玻、春珂は梅田の地下街で迷ったり伊津佳達が男子部屋に忍び込もうとしたりと…
今まで一番読みやすかったりします
時子が晃大好きということを伺わせる一面もあったりします
- 四季の感情を取り戻せ!!
そんな状況が一変するのは2日目
Omochiと古暮が秋玻、春珂の手助けを名乗り出たのです
というのは流石に古暮も四季の変化に気付いていたようで
そりゃ、感情を見せないような状態になったら誰でも違和感に気付くよね…
人間はロボットみたく表情を出さない生き物じゃないから
そんなOmochiと古暮によって決行されたのは矢野の反応を見る作戦
1つは激辛ラーメン(蒙古タン麺みたくめちゃくちゃ辛そうなイメージ)を食べさせ反応を見るのと、晃に時子と「あれ」をやったのか尋ね反応を見るもの
色々、晃被害食らってないか?
でも流石にこれだけ探りを入れたら当然矢野も気付きます
という訳でOmochiと古賀は直接文化祭で何があったのかを矢野に聞くこと
矢野が話したのは、
1.秋玻のことだけが好きなのか分からなくなった
2.キャラ作りを楽しんでいたことを霧香に気づかされてしまった(ここはボカしていますが)
ということ
まあ3巻序盤の時点で春珂のアタックにドキッとするようになったので1はしょうがないでしょう
ただ問題はやはり2で…
なんか嫌な予感するんですよね、また霧香が出てきそうな…
春珂が霧香に連絡を取ったのも今後出てきそうな伏線な気もしますし
霧香によって与えられたダメージは相当大きいと僕は思います
その夜、秋玻達はある作戦を決行することに決めて…!!
- 幸せになることをためらわなくてもいい
その作戦とは四季と秋玻、春珂が接触する時間を増やすこと
秋玻と春珂が実行しようとしてた作戦がようやく始まったとも捉えられますね
でもやっぱり四季の感情は動かない!!
ショック療法で復活しなかったんだからそうは上手くいかないって…
ただこのとき、秋玻がなにか我慢していることに気づいたのです
秋玻が以前父親と訪れた生駒山上遊園地に行きたがっていることに…
その遊園地とは実在する施設だそうですが、ただこの時の秋玻は明らかに別人
まるでキャラを演じて楽しんでいるかのよう
…これは霧香によって四季が取ってしまった行動を再現しているかのようにも見えますが…
ただそのときに思い出したのが父の言葉
「辛いことは際限なく積み上がることがあるし、逆に幸せだっていくらでも重なっていくんだ。つまりー幸せになることを、ためらわなくてもいいんだよ」
これ良い言葉ですよね…
世の中って良いことは続かない癖に悪いことは連鎖するじゃないですか
だから苦しむこともある
でも幸せになってはならない権利なんてない
幸せになることを恐れる必要はないのです
その上で四季はどうすればいいのか分からなくなるほど追い詰められてましたが、秋玻と四季が出した結論を「私を頼って欲しい」ということ
1巻の逆になってますね
思えば1巻では春珂を助けるために秋玻と接近して、紆余曲折あった末に秋玻と四季は恋仲になった
それから半年経過して、今度は秋玻と春珂が四季を救おうとしている
これって共依存とも捉えられませんが、秋玻と春珂なりの恩返しにも見えます
四季がいなければ春珂はこうして学生生活を楽しむことができなかったし、秋玻も孤独だったかもしれない
四季は間違ったことはやってない
伊津佳や修司、晃や時子、そして今回のOmochiや古暮と多くの仲間が心配してくれるようになったのだから
その上で物語はこの台詞で終わる
「ーわたしたち、ずっとこのままでもいられるかも!」
これはどういう意味かというと春珂が消滅を回避できる可能性が出てきたということ
確かに2人の入れ替わり時間は2人の信頼関係が関わっているはず
ということは2人が尊重しあえばこのままでも入れるってことでしょうか?
しかしながら最新の5巻から物語はいよいよ後半戦へ
モラトリアムの終わりも近付いてきました
そのうえ、この巻で遂に秋玻の本当の名前への断片が登場し、結末にも少しずつ近付きつつあります
春珂の消滅はやはり避けられないのか
悲しい結末にならないことを僕は望んでいます