波乱続出。更に… ~「彼女、お借りします(15)」~
タイトル:「彼女、お借りします (15)」
作者:宮島礼吏
「彼女、お借りします」の15巻
この頃、かのかりの1巻が無料解放されていてそれをきっかけにこの作品を読み出したのを覚えています
この15巻はアニメが始まる直前に刊行され、その後アニメ効果でこの作品の人気が急上昇するわけですが、その直前にリリースされた15巻は波乱続きの巻だったようです
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波乱①みにの暴走
最初の波乱はみにの暴走
前巻14巻のラストでクラウドファンディングに効果的なリターンを見つけるべく、みにが千鶴の部屋を訪れ、大捜索していった訳ですが捜索後にみにが「師匠(和也)は水原さんが好きっス」と爆弾を落としていったのです
15巻はその続きからは始まるというとんでもない始まり方なのですが、千鶴はそれをスルーしようとする
そもそもこの時点で千鶴は和也への気持ちを明確にしていない
はっきり好意を示しているのはるかと墨ちゃんですからね
だから流そうとしたのですが、そこからみにが怒濤の攻勢
あくまで冷静に否定しようとするのですがみにが話す通り、千鶴のような美人と数時間でもデートしたら「本当の彼女だったら良いのに」と思うのも無理はありません
だってそうですよね?
フィクションだけでなく、現実でも学校に転校生としてとんでもない美少女やイケメンが来たら心を奪われることありませんか?
ゲームでもイケメンや美少女に惚れたら実在すれば良いのにと思いますよね?
それと同じです
和也が自然と千鶴を好きになってしまうのも不思議ではないとみには言いたいのです(実際には2巻で咄嗟に千鶴を助けたことを契機に変わっていたと記憶)
そこに、駄目を押すように
「お客さんの中に水原さんを一生幸せにする人がいるかもしれないっス!!」
とみには千鶴に伝え、去り際には、
「借り物から始まる"恋"もあるハズっス」
あれ?どっかで聞いたことがあるような…
この日の出来事は後に和也にバレますが、みにって第三者の視点から見ると和也をバックアップする強力な助っ人ですね
確かに「師匠のために!!」って14巻で話していたけど…
るかからすると要注意人物に相当するのでは?(もはや和也の恋のキューピット)
更に、このみにの行動は千鶴にも大きな影響を及ぼすようになります
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波乱②クラファン最終日に起こるまさかの出来事
そんなみにの行動を知って、和也は終わりを覚悟しますが千鶴から連絡が来てなんとかそれは回避
その連絡とは和也だけでなくみにも集まって話したいことがあるということなんですが、度々登場している千鶴が通う専門学校のクラスメイトである海くんが千鶴のクラウドファンディングを拡散してくれるというのです
海くん、実はSNS界隈で大人気(23万フォロワー!!)みたいで挨拶だけで4000リプも付くとか
著名人でもそんなにリプ付く人見たことないぞ(というか海くんって千鶴と同じでまだまだ駆け出し状態だったよね?)
そんなインフルエンサーに拡散してもらえるなんて和也たちからすれば、願ってもないことでしょう(瑛人の「香水」がTik Tolkで拡散されてブレイクに繋がったように、現実でも著名人が拡散して一気にバズったケースは数知れませんから)
しかしそれと引き換えに海くんは千鶴を演劇鑑賞に誘う
よりにもよってクラウドファンディング最終日に
どう見てもこれはデートですね
和也は海くんと面識があります(アニメでも放送されたクリスマスエピソードで対面済)
そんな海くんが千鶴に告白したらもう勝ち目ありません
こういう時、忘れらんねえよを無性に聞きたくなる
とはいえ、千鶴曰く「海くんは彼女いるとのこと」
それでももしもを想定して、和也は動揺しますが結局みにがクラウドファンディングを成功するために行くことを勧めたのです
しかし和也の不安は的中します
なぜなら海くんは彼女と別れていたからです
となれば取る行動は1つで、もちろん千鶴は驚きますが、最終的には和也達のビラ配りに参加
このような展開になるのは読者も予想していたと思いますが、ここで気になるのは千鶴が海くんに和也のことを訪ねられた際に、
「好きじゃない…でも…好きじゃなくなもない」
と話したのです
ようやく千鶴は自分の気持ちに少し気づき始めたのでしょうか
でもまだこれでは自覚したとは言えません
まだ無意識です
明確に「好き」になってませんから
これを自覚させるにはもう少し大きな出来事が必要だと思います
ただ、その出来事ってなんだか予想できてしまうんだよな…
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和也の不安
そうした想定外の出来事があったもののクラウドファンディングは無事に成功
いよいよ撮影が始動することになりますが、本当にやることになると和也はプレッシャーを感じまくり
そりゃ千鶴が主演の映画を撮影するために大勢の方が資金を提供してくれたのです
下手な映画を制作することは出来ないんですよ
そうしたプレッシャーが表に出てしまっているのか、大学での和也の顔は「悩んでいます」という顔に書いてあるかのよう
人間、意識しなくとも不安になると顔に表情は出るものです(逆もしかり)
そうした表情を見せられると周囲は嫌でも気になってしまう(たまにクレームをつけていいる方を見かけると嫌でも気になるでしょう。そういうことです)
木部も和也の不安な表情を無視できなくなってしまったというわけなんですが、木部は木部なりに和也を激励するんです
「やるだけやってみろ」と(木部がどんな例えをしたかは実際に本を取って確かめましょう!!)
やっぱり木部っていい人ですよね
昔、千鶴に和也の学生時代の話をしたのも彼ですから(2巻参照)
そうした中で撮影は始まり、和也はプロデューサー(というより雑用)で奮闘しつつ、るかも女優としての千鶴の凄さを実感しつつ、千鶴の映画撮影に参加できていることに静かに感謝したりするのですが、大事な1シーンで蝉が…
電車、飛行機、蝉は撮影の天敵らしいですが、千鶴達の頑張りを無駄にしないためにまた和也が身体張っちゃうです…
和也の悪い癖です
逆に言えばそうして熱くなれるところにるかは惚れたのですが
でも、和也のお陰で撮影は続行でき千鶴も渾身の演技を出来たのです
ただ、和也は同時に思うのです
千鶴が有名になったら俺はどうなるんだろうと
さあ、クラウドファンディングも成功し映画撮影も順調ですが、1つの不安も出てきてしまいましたね
特にミュージシャンが好きな方なら分かるでしょう
熱心に応援していたものが遠くにいってしまう複雑な気持ちが
和也もこの複雑な気持ちに気づいてしまったのです
映画も成功し、彼女が遠くへいってしまったら自分と千鶴の関係はどうなってしまうんだと
千鶴の夢が叶うのは和也にとって嬉しいこと
でもその先は…
さあここからどうなってしまうんでしょうか
そういえば千鶴の祖母、小百合も映画撮影に協力すると言ってましたが、16巻のあとがきは絶対最初に見ないでください
とんでもないネタバレがあります