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アニメ、漫画、ライトノベルについて書くブログです

怪物はここに誕生する〜「ぼくたちのリメイク9」〜

タイトル:「ぼくたちのリメイク 9

作者:木緒なち

イラスト:えれっと

ラノベの感想は昨年の「声優ラジオのウラオモテ」以来?

物凄く久々のラノベの感想です

週1ペースにしたおかげでやっとこちらにも余裕が出てきた…

 

ラノベ感想再始動一発目は「ぼくたちのリメイク9」

去年のアニメ放送中に刊行されていましたが、あの時期から余裕を失い、なかなか読む時間が取れずにいました

なんでかなりブランクが空いてからの感想となります

前巻のあらすじはこちら↓

 

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

 

え、アニメ?

Blu-ray全く売れなかったらしいです汗

例の主題歌と雑すぎた終盤のあれがトドメさしたと思います…

続編やるならパチンコかスロットにならないと厳しいよ…

 

  • 明かされるシノアキの家庭

前巻8巻のラストで倒れてしまったシノアキ

スケジュールに余裕があるということで、福岡に帰省することになるのですが、その帰省にはシノアキの頼みで恭也も同行することになりました

決して新婚旅行ではありません

というかまだ2人付き合ってないから

 

それにこの帰省は決して楽しいものじゃない…

シノアキの父親であるは恭也を歓迎してくれるものの、今回の帰省はシノアキが体調を崩さなければ起こらなかったものでしょう

なので恭也はシノアキを今後どうするか(黙って見守るorクリエイターとして進ませる)悩みながら帰省しているのです

 

しかもこの帰省、7巻でシノアキが話していた絵を書く理由に大きな矛盾が生じてくる

その発端は弟の

彼は恭也と初対面の時から敵対心とまでは言いませんが、恭也をあまりよく思ってませんでした

なぜなら仁がシノアキの仕事に肯定的であるのに対し、優はシノアキが絵を描くことには好意的ではないんです

 

もちろんこれには理由があります

どういうことかと言うと、シノアキの母親であり故人の由貴はデザイナーをこなしつつ家事も沢山やっていたのですが亡くなりました

それも病気になっても辞めなかった

つまりオーバーワークで亡くなってしまったんですよ

 

裏を返せば、デザイナーでなければ、由貴はまだ生存していた可能性もあります

悪く言えば絵が由貴を殺した

だから優はシノアキが絵を書くことに反対なんです

デジャブを起こしかねませんからね

 

これで分かると思いますが、7巻で話していた「父も弟も絵を書くと喜ぶ」は嘘です

実際には由貴が絵を書いているところを見たのがきっかけ

簡単に言えばシノアキは由貴に憧れを抱いていた訳です

 

この原理、著名人を親に持つ家庭に近いのかな

親が一流のスポーツ選手、ミュージシャン、著名人だと親の仕事に憧れを抱く方もいます

子は親の背中を見て育つというように、シノアキも由貴が絵を書いているのを見て育った

だから絵を書いているのでしょう

7巻で話したことが全て嘘ではありませんが(母親と会話しているというのは間違いないと思う)

 

仁はシノアキが絵を書き続けることに否定的ではない

逆に優は今すぐに止めて欲しいと呼び出した恭也に対して、感情的になってしまいました…

2人とも身体を気遣って欲しいと伝えたいだけなんです

でも優は母親の由貴のことがあるから、シノアキが由貴みたいになるのは嫌なんでしょうね

つらい、つらすぎる…

 

このようにシノアキの家庭に関する秘密がここで遂に公になりました

もちろんシノアキは何があったか、帰路につく最中恭也の口から聞く

けれども、

 

「わたしはやっぱり絵を描くことがやめられんかったよ。」

 

とシノアキは絵を書くことは辞めませんでした

無理だよな…

長年やっていることほど、簡単に辞められるわけがない

もう身体の一部になってしまっているから…

 

最終的にシノアキの仕事はセーブすることを前提に続行

ですが、これが裏目に出るとはこの時誰も知りませんでした…

 

ちなみに恭也とシノアキが福岡に行ってる際、貫之達は何していたかというと…

 

  1. 貫之とナナコ→シェアハウスきたやまで留守番。共に進捗難航で愚痴こぼし大会開催
  2. 里桜は茉平と共にサクシードソフトでダメ出しをくらいながら業務中
  3. 九路田は新しい人材育成法について英子と相談しつつシノアキを心配(英子は関係性も)
  4. 英子も里桜とナナコが対面した際に自分の立ち位置を不安視
  5. サクシードソフトでは製作期間圧縮や開発点数の増加計画が…

と色々なことが起こりまくり

 

この作品、視点移動多いですからね…

メモ取るも読む時も苦労しています

さらっと九路田も再登場してます

 

なおシノアキの地元は波多江駅とのことですが、この駅は実在します

それも母の実家の隣駅…

牧のうどんも登場したりと福岡出身の人間ならニヤリとしてしまう場面だらけです

電車は流石に今は1時間に4本来ますから

 

  • 良い変化と悪い変化

こうして、セーブしつつも仕事を行うことを決断したシノアキと恭也はシェアハウスきたやまに戻ってきましたが、どういうわけかいきなりお帰り会が開催されました

…お帰り会って何?

 

ですが、安堵する時間はこの作品にほとんどありません

九路田と同じく再登場した美乃梨の絵があまりに進化しすぎていたり、サクシードソフトでは茉平が中心となっていたミニゲームが恭也主導になったりと次々に変化が起こっています

 

その中でも劇的に変化したのは貫之

恭也の力に頼らずシリーズ作品2巻の執筆を試みるも難航

筆が進まない訳ではありませんが、恭也の助言をもらって執筆した1巻とクオリティがあまりにかけ離れていて、英子に相談するほどまでに追い込まれました

 

ですが貫之はそれでも恭也を頼ることはせず、自分で執筆しながら文章を作成するやり方を見つけ独り立ち

いずれは自立しなければならない運命

貫之は補助輪を外すことが出来たのです

…というかこの方法、ライブレポ書くときに使っているんだが汗(音楽ブログの話です)

 

ただ悪い変化もあります

それはシノアキ

仕事のペースを恭也が変更させることで、シノアキは無理のないスケジュールに移行することは出来ました

けれどもその結果、シノアキは自身の武器である絵の「表情」を失ってしまった

つまり個性のない絵になってしまったということです

 

シノアキの絵の素晴らしさは漫画やアニメで再現されているので、説明は不要でしょう

でもあの絵を書くには無理をしないとならない…

シノアキの問題は解決どころか、更に深くなったという訳です

その後及第点レベルにはなりましたが…

 

もう1つはサクシードソフト

ミニゲームの開発が里桜と恭也の2人になり、明らかに雰囲気がおかしくなってきているのですが、その予感は的中しました

何故なら開発中のRPGの製作期間を短縮するように言ってきたからです

その期間は1年から10ヶ月

あまりにキツすぎます

 

ゲーム制作のスケジュールは「冴えない彼女の育てかた」やぼくリメでも3巻で具体的に言及されていますが、2ヶ月も納期を縮めるのは余裕をもって制作することは不可能

ミスしたら完全に頓挫します

 

そもそもゲーム制作って順調に進むならまだしも、人間には調子のパロメーターが存在します

通常の進捗を1とするなら1.7になったら0.1になったりすることもある

だからこそ余裕を持って制作するのに、それをぶっ壊すような考え方ですよこれ…

しかもこのようなことは過去にもあった

そのため、茉平は予定通りの期間を得られないなら中止にすることも視野

むしろこれは当たり前の対応なんですが、ここで恭也がスケジュール圧縮の可能性を提案してしまうんですよ…

作品を守りたい気持ちはわかりますが…

 

で案の定、この提案がきっかけで一度は保留となりますが恭也は茉平に呼びかけられることに…

その際、茉平は怒ることはありませんでしたが、ここで自身がサクシードソフトの社長である茉平忠広の息子であることを明らかにしました

 

まあスピンオフ読んでいた方なら、彼が後にサクシードソフトの社長になることはご存知でしょう

ただこの頃の彼は「ゲーム制作を普通の仕事にしたい」理念を抱いていたのです

それはサクシードソフトの方針が昔のままで変わってない

時代に合わせた変化をしてないのです

ゲーム制作の現場は激務

だから、過労で無理をさせないような状況に変えたかったのです

彼の理念は素晴らしい考え方です

実際、現実でもそうだとは思います

 

これに対して、恭也はシノアキのこともあって賛同しました

なんで茉平の案(予定通りの期間を得られないなら企画を中止にする案)が本部に送り返されることになりました

翌日、茉平が平然を装っていたのが凄いけど汗

 

しかし管理職の堀平は…

 

ところで自分は作品の感想をどう書いているか

漫画もラノベも読んだあとに区切っていくのですが、ラノベはメモを参考に

漫画は再び読み返して時間を計りながら書いてます

ダラダラ書くと集中力が落ちてしまうので…

 

  • 怪物のはじまり

こうしてシノアキと恭也がきたやまに戻ってきた以降、自分のやり方を見つけた貫之は刊行ペースを4ヶ月から3ヶ月に

シノアキも製作ペースが安定したりと良い変化は起こってました

 

けれどもここで行き詰まっていたのはナナコ

オリジナルソングがなかなか出来ずに苦悩していたのでした

というのはナナコは歌ってみたの活動が中心でこれまでの曲は課題やゲーム用に制作したもの

分かりやすく言えば、タイアップのために描き下ろしたって感じです

だからなぜオリジナルソングを作りたいかに気づいてない

そこでナナコを市場調査も兼ねて、映画に誘いますがこれはデートに誘ったも同意義です

恭也…(英子も呆れてます)

 

恭也の自爆するような行動はともかく、映画を見ることは一応成功しました

タイムリープを土台にしつつ、ロマンスメインって思い切りメタな気がするけど(笑)

それでもナナコは感動し、創作意欲が湧く結果となりました

GA文庫でこんな作品なかったか?↓

並びに、恭也はナナコが作った曲を元に物語にすることを提案しています

これ逆YOASOBIじゃん(笑)

BUMP OF CHICKENが「ギルド」を人形劇にしたみたいな感じだと思うんですが


www.youtube.com

この際、ナナコは「自分に嘘つくの、もう嫌だもん」とシノアキに対する負けん気のようなものを出しますが、ナナコが発した

 

「命かけてやっているもん!!」

 

で恭也はあることに気付いてしまうのです

 

そしてその言葉を現実で展開してしまうのがシノアキ

ナナコと映画に行った後、恭也は美乃梨から「シノアキと話したいことがある」といったメール連絡を受けて、後日シェアハウスを訪れますが、そこで目の当たりにしたのは美乃梨とシノアキの絵の実力が逆転したことでした

 

どういうことか

スケジュール管理をすることにした結果、シノアキの製作ペースは安定しましたが、シノアキの絵は無個性化しました

オブラートに包まずに言えば、シノアキの絵は劣化してしまったわけでシノアキの絵に憧れていた美乃梨からすればショックでしかないのです

言い方を変えれば、シノアキは美乃梨の憧れではなくなった

だからシノアキに勝つことを宣言したのです

その姿は4巻の改変された未来に出てきた御法彩花そのもの(↓参考までに4巻の感想載せます)

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

当然シノアキはショックを受けてしまうよな…

 

しかしそれは誤解でした

それから1週間、シノアキは部屋に閉じこもってしまうのですが、美乃梨が恭也と共にシノアキの部屋を訪れるとシノアキの絵は復活していました

つまり元に戻した、魂を込めるような書き方に

 

美乃梨はシノアキの絵が元に戻ったことを喜びましたが、これって仁や優が望まない方法でもある

でも制御された状態だと自身の実力を発揮できない…

恭也はその時思い出しました

「クリエイターの起こす力は、到底、他人が制御できるものでないこと」

 

シノアキは絵を書くことが好きと恭也に話しました

由貴の生き方に憧れていたことも

要は1人になる覚悟を決めてしまったんです

家族を裏切ってでも修羅の道を歩むことに

 

ここに怪物は生まれました

母の生き方に憧れ、家族を裏切ってでも修羅の道を進む怪物が

 

そしてそれは恭也にも影響を与えます

創作とは「命がけでやること」だと

 

茉平に自身の考えを伝えた恭也は、茉平と考えが違うことを認めざるを得なくなりました

ですが、1つ希望も生まれた

「ミスティック•クロックワーク」企画を立ち上げることにしたから…

 

という訳で9巻、4巻よりも重たい話だったかもしれません

創作は「命をかけるべきか」がテーマだと思われますが、やっぱり命懸けなんだと痛感させられました

ここ数年で亡くなった若きクリエイターは命を掛けまくった方だらけなんでしょうね…

 

その上でこの巻にはプラチナ世代が再び手を取って作品を作ることを示唆させる伏線がありました

それがミスクロなんでしょう

本編にも出てくるとは…

 

個人的に気になるのはナナコと見た映画の概要が、「未来は変わらなかったけど、ヒロインとの絆は結ばれた」ということ

これ伏線なのか…?

 

この感想掲載時にはおそらく10巻が刊行されているでしょう

サブタイトルが「エピローグ」とあまりに不穏なタイトルですが次で完結するのでしょうか?

それとも…

 

なおスピンオフはいずれ掲載しますが、先に継れカノと声優ラジオ揚げる可能性が高いです

なので10巻の感想のあとになるかもしれません…

絶対掲載するので待っていてください!!