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これがエピローグでいいのか!?〜「ぼくたちのリメイク10」〜

タイトル∶「ぼくたちのリメイク 10」

作者∶木緒なち

イラスト∶えれっと

この記事がどういう順番で載るかは定かではありませんが、ぼくリメ9の感想を執筆し、そのまま次の巻を読了

その流れで10巻の感想を執筆しています

スピンオフの感想を依然として手を付けられないのが申し訳ないです…

 

この10巻、サブタイトルに「エンドロール」とあるので「完結!?」と思われる方もいるでしょうが、まだ終わりません

そこは安心を

ですが一つの区切りになるのは間違いないです

起承転結の転ですから

 

しかし…スピンオフも含めて過去イチとんでもない展開ですこれ

前巻のあらすじはこちら↓

 

前巻の9巻で、シノアキを通してクリエイターを何かを再認識した恭也も遂に4年

大学4年といえば就活や卒業制作でしょう

就活と卒論、どっちがマシかは人それぞれでしょうが僕は就活は思い出したくない

80社近く落ちてますからね!!

しかも最初の企業は(ry

 

もちろん芸大にも卒業制作はあります

が、芸大の場合は卒論の意味合いが大きく異なるようで

極端な話、やる意味がある側とない側に分岐します

この作品で言えば、

 

ある∶恭也、英子、火川

ない∶シノアキ、ナナコ、貫之

 

↑を見ていただければわかると思いますが、プラチナ世代プラチナ世代ではっきり別れてます

 

なぜなら↓

 

シノアキ→自分の意見(具体的には案件を受けるか受けないか)を徐々に出すようになり、クリエイターとしての覚悟が決まってくる

ナナコ→1人で動いた新作動画が総合ランキング1位、知名度も着実に上昇

貫之→大阪のある書店で"川越恭一"としてサイン会が実施されるほどの人気に

 

このようにプラチナ世代はもう結果が出ています

卒業制作にこだわる必要はないんです

英子は「大学中退」を提案するくらいですから

 

しかも美乃梨もミリオンソフトというゲーム会社でヘルプの仕事を頼まれる程の実力を持つように

とはいえ、後々「新しいことをやらない」という理由で辞めるんですが、このようにクリエイターとして覚醒した側としてない側で差が大きく出てしまっているのです

 

なお九路田は九路田でアニメの企画を行っていたのですが、リーマンショックがきっかけで企画が中止…

スタッフ編成も問題なかっただけに、九路田は自分を責めてましたが、企画を動かしていた事実には変わりない

さすがは九路田といったところです

この九路田がこの巻、終盤の鍵となるとは思いませんでしたが・・・

 

ただ非プラチナ世代

火川は映画コースで撮っていたアクション映画の道から離脱

英子はプロデューサーを目指せそうではあったものの、バイトが上手く行かず最終的に退職…

しかもこの原因って英子が新人育成に関してアイデアを提案したから

煙たがられて担当業務を変えさせられて業務を終えてから辞めてしまった

要は左遷です

しかもこの巻の英子、酔いつぶれまくってます(笑)

初期の英子はどこに行った(笑)

お陰様で恭也は愚痴を聞かせれまくってる場面が多いです

 

そして恭也

前巻のラストで登場したミスクロの企画を考えつつも、卒業制作に悩む日々

英子にも悩んでいることを見透かされるほどですし、いつもの通り1人で抱え込む悪い癖も出てますが、今回ばかりは断っています

なぜなら大学卒業が近い、それは社会人になることを意味します

つまり1人で考え行動しないと行けないんです

 

僕だってそうですよ

仕事だって、不安な点はもちろん相談しますがそれ以外は原則1人

自分で考え行動がメインになります

だから恭也はいつまでも英子に頼るわけにはいかないのです

モラトリアムの終わり、それは自立です

 

このように恭也は過去1番に苦悩しているわけですが、それでも卒業制作には意欲

最終的にはナナコを主演に大阪の観光案内映像を作ることにしました

これまでの創作とはスケールが小さいなんて言わないように

ちなみにロケハンには里桜も同行

ですが理由は恭也も一緒に居たい∶勉強=7∶3(笑)

ナナコに恭也はジト目で見られました

ほぼ女たらしみたいなもんだからな〜

 

この卒業制作と並行しながら、ミスクロの企画を少しでも進めようとしたわけですが…

  • 茉平の異変と失踪

この巻、恭也が卒業制作やミスクロの企画で苦悩する一方、恭也のアルバイト先であるサクシードソフトは不穏な気配が漂い始めます

なぜなら茉平康の様子が年明けからおかしくなり始めるからです

 

9巻の後半、堀井が管理職になったことを後悔するような描写があるのですが、そこには社長であり茉平の父である忠広の介入を示唆していたのです

それもあって、茉平は上層部とやり合っているのですが、この茉平がこの巻の最重要人物

 

恭也は茉平の頼みでボードゲームカフェで茉平と面会

そこで彼の過去が一部明かされるのですが、茉平は実はゲーム大好きでした

 

スピンオフを読んでいる方からすれば「え!?」になるでしょうが、彼が勉強していた理由はゲームが好きだから

ゲームがしたくて勉強していたんです

スピンオフを読んでいる方ほど驚く衝撃の事実でしょう

 

しかもゲーム業界に入ったきっかけはある1枚のゲームイラスト

その絵のデザイナーはもう亡くなっているのですが、この絵シノアキの母親(由貴)が書いた可能性があります

あくまで僕の推測ですが

 

ただその去り際、

 

「これから何があったとしても、ゲームを…好きでいて欲しいんだ」

 

と恭也に告げた後に、茉平は失踪します

その失踪を知ったのは卒業制作のロケハンの帰り、堀井からの電話知るのですがそこからが急展開

茉平は強引に会社を辞めていたんです(恭也と里桜はロケハンの翌日に堀井からこれを知ります)

 

その原因は社長の忠広

対立が深まった結果、開発から経理部に茉平は左遷を食らってしまうのですが、茉平が辞めたのと同時に茉平の企画の主要メンバーの10人も消えます

恐らくこれは同調じゃないかな…

「康くんがやめるなら彼の味方につく!!」といった感じ

この頃の茉平は強引なやり方しないでしょうし…(スピンオフの彼は闇墜ちしたんだろうな・・・)

 

これで分かると思いますが、サクシードソフトは一度に11人の人材が消えました

これは一大事ですよ

リストラならともかく、勝手に消えるって会社の計画とか大いに狂いますからね

大打撃です

これを読んだ皆さんは決してバックレなんかしないように

 

だからこの騒動を収めるために、強制的に全社員面談(堀井は恭也と里桜に退社を勧めますが、残ります。ちなみにこれはパワハラではありません。茉平と関係が近かったがゆえに、「危ない」と堀井が判断したから逃げることを促したというわけです。)

面談は堀井も同席して、事なきを得ました

 

ですが懲罰人事はあります

茉平と一緒にいた人物は開発から移動させられ、里桜に至っては契約解除が決まってしまいました

その契約解除の原因は2つ

  1. 開発チームが1つ消滅(←茉平の失踪が原因)
  2. 里桜が強い要望(恭也と一緒に働きたいだよね?8巻参照)でこの仕事を始めた

 

しかもこの契約解除、単なる契約解除ではないんです

 

実は里桜、親がゲームのローカライズを行っている会社の社長…

その会社は今後はオリジナルゲームを作る予定なんですが、それに関わる条件がサクシードソフトのアルバイトで成果を出すこと

里桜はクリエイティブの仕事を父親に反対されてます

つまり、クリエイティブで働きたければ成果を出せといった感じ

なのでサクシードソフトのアルバイトは非常に重要なのですが、契約解除はエンタメ分野で仕事をする機会を奪われたようなものなんです…

 

この状況、打開したくても動かすプロジェクトはなし

しかし裏を返せば…?

 

  • 起死回生にかける恭也。結末は…トゥルーエンド…?

そう、裏を返せば新しい企画が生まれれば可能性は残る…

里桜は契約解除にならずに済むのです

 

となれば恭也は企画を考えることを出来ないか堀井に提案しますが、このときの堀井は普段の彼からは信じられないような言動が飛び出してます

アニメあれば、その様子を明確に見られたんだろうけど・・・

 

でも堀井が「今求められるのは切羽詰まった状況で成功する成果を求められる企画」というのはまさしくその通り

こんな雰囲気で企画提案は簡単なものではありません

ましてや、恭也は茉平の近くにいた人間

ハードルは尚更高くなるでしょう

それでも食い下がらなかった恭也には執念を感じますが、そりゃそうだよな

こんなことで里桜の夢が奪われるなんて納得いかないし・・・

 

ですが納期はプレゼンも含めて2週間

しかも堀井の厳しいチェックが入るかつてなく難易度の高い条件です

 

たった2週間

企画を考えるのも至難の業ですが、そこでミスクロを使用するんです

それも貫之やナナコにシノアキも巻き込んで

これに火川や英子、おまけに美乃梨や九路田も…

まさしくオールスターキャストでしょう

これだけの面々が集まれば凄い企画ができる!!

そう皆さんはお考えるになると思います

え、卒業制作?

恭也1人で出来るモノに変更されたよ

 

もちろん企画説明は好評でした

ですがこの企画、逆説的に見れば恭也のために利用されるということでもある

しかもシノアキたちは既に成功しているクリエイター

成功している側がわざわざこうした企画に参加する必要はないんですよ

この点を九路田に異論と同時に指摘されてしまいます

 

おまけにプランディングやIP創出(ビジネスチャンスのことです)の欠落まで指摘される…

突貫工事で仕上げなければならなかったとはいえ、弱点だらけだったのです

 

実はこの作品の序盤の方で恭也は自身を「意見を聞いて完成に持っていくことは出来ても、提案や構想が出来ない」と自分の弱点を自覚しています

それが最後に出てしまったとも言えるでしょう

 

この企画、異論を唱えた九路田のアドバイスをもとに修正されていくものの、九路田の提案に貫之たちは活気付く

要は恭也と九路田の差が思い切り出てしまっているんですよね…

だから恭也は疎外感を覚えるし、修正を加えた後のプレゼンでも堀井からの評価は、

 

「ゲームが優等生すぎる。非常事態を動かすエネルギーが足りない」

 

一応、恭也はプレゼンの際に「これまでのサクシードの流れと異なった」とは、口にしているものの革新的ではない

つまり企画は評価されてないんです

評価された箇所も九路田の付け加えた展開でした…

 

でも恭也は嫉妬しませんでした

むしろやりきったと実感しているのです

そして、

 

「魔法が解けた人間は、現実に帰らなきゃいけない」

「卒業式を迎えようとしているときに、そこに僕だけがいない」

 

どういうことか

 

プラチナ世代は恭也から巣立ったということ

 

恭也はクリエイターとしての道を諦めたということです

 

というわけで10巻の感想でした

どう考えてもバットエンドだろこれ

 

確かに1巻の「あの時、芸大に進んでいたら…」は達成されました

けど、現実突きつけられて巣立ちを見送るように消えていくって…

トゥルー・エンディングなわけあるか!!

それただの美辞麗句だから

 

これじゃあ凡人は才能人にはついて行けませんでしたと書いているようなもの

「天才には敵わない」と現実を突きつけられて、道を断念するのと同じです

「みんなとゲームを作る」は何処に行った!?

 

この巻、冒頭の挿絵が不自然なんです

なぜなら恭也の姿が描かれてないから

挿絵が伏線だったのです

最初からトラップ張ってたのかよ…

 

しかし、これは最終巻ではありません

スピンオフよりも後味が悪くなりますからね、これでは

 

それから数年後、恭也はベンチャー企業を起業

赤字から黒字に変わりつつあるようですが、仕事に没頭しまくってる感じ

情熱を失ったから仕事に打ち込んでいるというべきでしょうか

ある作家のライトノベルが原作の映画試写会の招待状が来ても、興味なしといった感じでした

 

ですが、突然電話がかかってきます…

英子から・・・

 

どういうことか?

 

次から最終章です

 

遂にこの作品終わります

MF文庫で異色のシリアス作品だったこの作品が遂にラストスパートに入りました

 

夏に最終章始動を告げる11巻が出ます

 

現段階で伏線がかなり多いです

  1. 茉平はどこへ?
  2. 英子の電話の目的は?
  3. シノアキの宿題への回答は?
  4. 結局ケーコお姉さんって?

②は次の巻ですぐ分かるでしょう

 

まず①

この巻の帯でもある「これから何があったとしても、ゲームを…好きでいて欲しいんだ」を恭也に残して消えた茉平

 

この時点でβと同じ未来はないでしょう

βの茉平はゲームが嫌いになってますし、サクシードの社長になってましたから

何より失踪した人物が社長に返り咲けませんし

 

茉平のことだから、絶対何かを考えているはずです

スタッフも10人同調したんですから

あの言葉…

なにかの準備の示唆か?

 

次に③

恐らく恭也はシノアキに宿題の回答をしてません

この宿題とは、10巻の終盤でシノアキから

 

「どうしてものを作ると?」

 

とたずねられるシーンがありましたが、恭也はこれに答えられず宿題にしたのです

でもその後の描写を考えると回答することなく、去ったと言うべきか

それ人として駄目じゃない?

だからシノアキの回答に返事する日が確実にくるでしょう

 

並びに、ポイントは9巻でナナコと鑑賞した「物語は未来は変わらなかったけど、ヒロインとの絆は結ばれたというきれいな終わり方をした」映画

やっぱりこれが11巻以降への伏線だったんです

なぜならプラチナ世代をはじめとする人物たちとは関係を持とうとしないだけで、繋がってます

英子からの電話がその証拠です

 

つまり、11巻以降ってまた恭也がモノ作りに関わると思われるんです

恭也は「大切なもの」を決められず、「なぜ物を作るか」もわからないまま

これが分かったとき、恭也の導火線に再び火がつくのでは?

ただこれって、もし誰かと結ばれる結末もあるならこれ決まりじゃあ…

あーあ、ナナコ…

 

 

そしてこれは放置で終わるかもしれませんが…

ケーコさんって結局何者だったの?

未だにわかってません

わからないまま、フェードアウトさせるのか?

それとも11巻以降重要キャラになるの?

 

最終章を告げる、11巻は夏から始動です

ハッピーエンドを僕は願ってます