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アニメ、漫画、ライトノベルについて書くブログです

次巻、最終巻。ある事態は決断をもたらす〜三角の距離は限りないゼロ7〜

タイトル∶「三角の距離は限りないゼロ 7」

作者∶岬鷺宮

イラスト∶Hiten

 

4月以降、サブカルブログの感想執筆ベースが上向きつつはあるものの、執筆できるのは週に1本のみ…

というわけで執筆は出来ているものの、なかなかストックが出来ないジレンマを抱えながら執筆をしています

 

そんな中、今回感想を掲載するのはこのブログではおなじみ「三角の距離は限りないゼロ」

ご存じの方も多いですが、次の8巻でこの作品は完結します(2022/04/26現在、8巻の発売日は未定です)

まずは6巻の感想を↓

 

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

 

特に6巻の結末をよく思い出してください

この巻は最後に向けての序章といった意味合いが強い巻

しかし、最後はあまりに悲しい結末の入口が待ち受けてました…

  • 自分を見失った四季

さてこの7巻のオープニングは衝撃

それは四季が以前とは考えられないほど、ハイテンションになっているからです(笑)

 

無論、春珂や秋玻も気づきますが読書から見ても「誰!?」状態です

バカとテストと召喚獣の吉井明久みたく四季は常に明るい人物ではありません

かと思えば、テンションが落ちたりも

どういうことか?

要は四季は自分がどういう人間なのか見失ってしまったのです

 

1巻の四季は相手に合わせてキャラを演じていたのを覚えていますよね?

漫画で丁寧に1巻が詳しく描写されたので尚更

※一応1巻の感想を添付します↓

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

でもその時とは違います

何らかの原因で四季はこのように自分を見失ってしまった

秋玻と春珂のように二重人格になったわけではなく

 

というわけでこの巻の主なテーマは本当の四季を探すこと

「秋玻と春珂の入れ換わりが短くになっているのに何やっているんだ!?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、これは四季が頼んだわけではないのです

秋玻が

  1. 二重人格の終わり
  2. 四季が秋玻と春珂のどちらを好きか
  3. 四季自身のあり方

これらが全て繋がっていると考えたから、本来の四季を取り戻そうとしているわけです

もう一度書きますが、四季の頼みではありません

 

その上で四季がどういう人物か思い出すために、四季と秋玻、春珂は修司の家でクラス会の映像を見て振り返ることに(伊津佳や修司に一緒、この2人も四季の異変にラインを通して気付いてます)

しかしこの巻の序盤は正直、1-6巻のダイジェストです

 

過去を振り返りつつ、これまでの四季を見つめるわけですが、残念ながら四季はもとに戻りません

しかも修司の家に来てから、四季はクレーム対応モードになったり、明るくなったり…

完全に情緒不安定です

見れば見るほど心配になるレベルです

 

けれどもおかしくなった原因は分かりました

その要因が6巻の結末

四季の目の前にいる恋する人物が分からなくなったのが原因なんです

「なんじゃそりゃ」と思うでしょう

最初伊津佳もそう思ってますよ

 

でもこうも考えます

 

「恋する夢を見て、自分を失った」

=「両方を等しく大切にする約束が終わった」

 

これに春珂は「大きな進展があった」と考えるように、四季は回答を出さなければならない時が来たのです

なぜなら、秋玻と春珂を等しく愛することが心のバランス(キャラ作りが嫌な気持ちと楽しむ気持ち)を保てたように、2人を愛することが四季に取っては補助輪だったんです

しかもこのキャラ作りが後に大きく関わりますが

 

なお伊津佳と修司は今の四季に違和感なし

…え?

嘘だろ?

 

秋玻もこれには困惑しているので色んな意味で安心を

「本心」とは考えてますが

 

ちなみにこの巻、秋玻と春珂によるノートのやり取りが非常に多いのも特徴です

だって次の巻には…

 

  • キーマンはまさかのあの人

本当の四季探しは次の段階に

クラス会の映像を見て、上手くいかなかったのでプランAからプランBに実質動くのは社会的にも自然な考えでしよう

しかしそのプランB、四季が発案したのはなんと庄司霧香に会うこと!!

 

覚えてますか?

3巻で3人の関係をかき乱した彼女です

 

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

一応4巻にもチラッと登場してましたが、まさか彼女が再登場するとは…

そんな霧香ですら、今の四季に困惑してしますけど(笑)

 

ですが、霧香は結構現実主義なようで今の四季の状況を「思春期みたいなことやってる」と突きつけています

なぜなら霧香も指摘してますが、今の状況って四季がキャラを定めなかったことが招いたもの

キャラ作りをアイデンティティと考えれば分かりやすいと思いますが

 

そもそも青春は自分らしさを見つける時間

思春期を終えた頃ってだいたい、自分が定まってますよね?

四季はそれから目を逸らしたんですよ

僕だって、高校の頃にはキャラ定まったかな…?

いや、大学の頃か

でもね自分のウィークポイントである短気はこの頃に受け入れてましたね(残念ながら短気は今でも治ってません・・・)

 

それに四季や秋玻、春珂が望んだ元に戻ることも霧香は困難と考えていました

何故ならそれぞれが見た四季は、

 

秋玻→「繊細で優しい。真面目で理知的」

霧香→「身勝手なガキ。ものもちが悪い」

春珂→「話していると楽しい」

 

これで分かりましたよね?

四季が各々、別な態度で接していること

それぞれから見た四季は別の印象

だから元に戻れない、並びにキャラが固まってない不安定な人間なんです

 

そこで霧香は知り合い巡りを提案しますが、春珂の霧香苦手は健在でした汗(3巻参照)

秋玻とは正反対…

なお、3巻で四季がやらかした放送室ジャック、霧香も驚いたようです

おい、四季

 

というわけで、知り合い巡り(と言う名の四季の掘り下げ)を開始しますが、秋玻と春珂のファーストインプレッションは、

 

秋玻→北海道から急に東京にへ来た上に、春珂がいる状態での学校生活がぶっつけ本番だったので緊張気味。教室に入るとまだ面識がなかった四季が、後ろから見てみると好きな小説「スティル•ライフ」を読んでおり運命を感じる。その後話しかけたら色々答えくれたため、文学少年で繊細な男の子のイメージに。
四季の反応∶読書を見つかったときは焦ったものの、本心で話せる相手が出来たことを喜ぶ

 

春珂→四季との実質的な出会いは転んだところを見られた放課後。二重人格の話をしたら(四季もキャラを作っていたために)笑っくれた(その時は四季もキャラを作っていたため)その表情に許された気がして嬉しかった。

四季の反応∶受け止める相手が出来て嬉しかった

 

ご覧のようにファーストインプレッションでも差が

2人が描く四季のイメージは明確に異なっています

 

更に掘り下げは続き、

 

(いい加減に挿絵を出してあげて…)「(2巻で修司と伊津佳が気まずそうな時期に一生懸命対応したので)毅然としてかっこいい…」

時子(晃と依然ラブラブです。もう「読者と主人公と二人のこれから」の続編を作った方がいい)「日常に出てくる4コマキャラ」

伊津佳と修司「キャラ作ってたときの印象引きずってる」

百瀬「高校生の頃(「失恋探偵ももせ」の頃)のわたしに似てる」

千景→「つかみ所がない」

Omochi→「豪腕な印象」

 

あまりにも人によって印象違いすぎないか?

 

これだけ印象が異なると秋玻が「元の四季」が分からなくなるのも当然ですし、四季までも混乱しますが、普通はここ、「いや、僕は…?」ってなりませんか?

これもキャラ作りを拒んだ功罪です

もともと秋玻と春珂の中の四季のイメージを揺さぶるのが霧香の目的でもありますが、霧香は、

 

人間性なんて―自分で理想を定め、それに向かって進むうちに形成されるもの」

 

と考えてます

 

理想の自分を定めて、次第にアイデンティティが形成されるということです

言い方を変えれば、四季は自分がどういう人間になりたいか定まってないとも言えます

ですので、霧香は四季の選択も見たいんですよ

四季が霧香を選ばなかった結果、どういう未来が訪れるかをね

 

そして秋玻と春珂の四季のイメージを揺さぶるべく、最後に2人へ行ったのは四季の嫌いな人の話を聞かせること

そりゃあ、仲のいいの人を嫌う人の話なんて聞きたくありませんよね…

不快になるだけですし(実際その話の中身は昔、四季がクラスメイトが読む漫画を元に口論となって、最終的に四季はクラスメイトを見下すという聞きたくなかった側面)

 

けれども、霧香は悪意を持っているんじゃありませんよ

「本当に好きなら嫌なところを含めて受け止めることで人間全体がぼんやり見える」という考えのもとでやってますからね

これは現実世界でもそう

 

特に友人関係や恋愛関係は、相手の嫌な面も受け入れて、より近づくことが出来ると思います

それが好きや愛するに繋がるのだから(これはフィクションの話になりますが、このすばでめぐみんがかずま好きな理由ってとても意外なものだったからなあ・・・)

 

最終的に、この知り合い巡りは2人をある結論に導きました

並びにその結論を近日学校で行われる四季の面談のあとに伝えることも

しかし、それは間逆な考え

それはつまり…

 

ちなみにこのエピソードで霧香のイメージは大きく変わりました

ドMっぽい一面も見せたけどね(笑)

 

  • 四季の答えは…?

こうして秋玻と春珂がある結論にたどり着きましたが、そのまえにまず四季

四季はこの巻、自分を見失って不安定になってしまいましたが、その原因はやっぱりあの夢

 

あの夢に出てきた恋をしていた相手が秋玻でも春珂でもなかったことが信じられなかった結果、今回の出来事が起こったというわけです

恋していた相手が大事にしていた相手ではなかったことがもたらした動揺とも言えます

このことは百瀬にも報告し、四季は来年のクラスも普段通りになりました

人と接していくには問題ありませんからね

 

ただ来年度も同じにならないのは秋玻と春珂

四季は秋玻や春珂の会話は「とても大切なものになる」と感じ、百瀬も今後どうなるかの覚悟してます

かつてから予想されていたであろうあの事態に備えて

 

同時に百瀬は四季に託すことへの申し訳も感じています

生徒を見守るのは教師の役目ですからね・・・

でも四季が居なかったら、秋玻と春珂はどうなっていたでしょう?

春珂はいつまでも隠れてなければならなかったのでは?

だから百瀬は四季に感謝も伝えています

同様に四季から百瀬にもね

 

さてここで2人の結論が出るわけですが、その2人の結論は、

 

秋玻
「全部抱えて、それで矢野くんなんじゃないかな?」

「無理にこういう人間だって、思い込むことはないと思うの」

 

春珂
「私の知っている矢野くんが、本物だと思う!!」
「誰よりも矢野くんを見てたんだもん!」
「わたしの知っている、矢野くんでいて」

 

見事に真っ二つ

…ですが明確な違いはありますよね?

 

秋玻はキャラ作りする必要はないと話し、春珂は私と接する時の四季でいることを願う

 

どっちにします皆さん?

 

大半は春珂の方ですよね

 

もちろん秋玻と春珂は色々な四季を見ています

その上で上の結論を出したわけですが、四季はそれぞれの考えに対して、(作中ではそれぞれの考えに答えを示してます)

 

秋玻→無理

春珂→胸を打つ(=強く感動させる)

 

四季も作中で話してますが、秋玻の考えだとどんな人間かわからないまま日常を送らなければなりません

キャラが定まらないというのは空っぽ

すなわち感情のないロボットと同じ

そんな日々を送るなんて自分でも無理ですよ

 

でも春珂の案なら?

春珂は明確な答えを示してくれてますよね?

春珂と接するときの自分で居てほしいと

 

これ、作中でも触れられてますが、4巻終盤の再演です

 

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

覚えてます?

秋玻と春珂が「矢野くんの、最初の『変わらないもの』になるよ」と告げたシーン※もしかしたら感想書くときに省いたかも…、今と昔で書き方違うし

これを春珂は再び示したんです

それは四季の道を示すのと同じ

 

ならば選ぶのは春珂

しかも抱きしめました

 

まさかですよ

1巻読んだときは秋玻が選ばれると思いました

その予想は完璧に外れました

選ばれたのは春珂だったのです

 

こうして春珂は四季に選ばれた直後、春珂は悲しげに

 

「幸せになろうね」

 

秋玻は、どんな笑顔よりも美しい表情

 

「そう…決めたのね」

 

と告げました

 

この秋玻の表情を四季は焼き付けようとしたんですが、ここから秋玻と春珂は尋常じゃない速さで入れ替わります

それは二重人格が終わるときが来たから

しかも選ばれなかった方は消える

あまりに残酷、残酷すぎる選択ですが四季は選ばないと行けないんです

そして四季に秋玻と春珂が選択を委ねるところでこの巻は終わります

 

作者の岬鷺宮先生はあとがきで、この作品を「三角関係恋物語」と「自我をめぐる物語」と記しています

タイトルの「三角の距離は限りないゼロ」

これって、「とても似ている3人の物語」という意味だったのかもしれません

その上もし、この7巻で四季が選んだ選択が8巻での選択、秋玻か春珂を選ぶ選択が代わらないなら選ばれるのは春珂です

 

ただ確か春珂は秋玻にとって妹のよう存在でした

7年前、秋玻にストレスがかかっていた際に生まれたのが春珂

秋玻ではなく春珂が選ばれる

これってメイン人格がサブ人格に食われることも意味してます

それはそれでとんでもないことじゃない…?

 

あるいはこう考えるべきか

秋玻は止まったままだった

春珂は前に進み出せた

妹が姉を超えたのか?

 

そして1巻の冒頭の手紙

これは、消滅したどちらかに送った手紙なんじゃ…?

 

次の8巻が最終巻

この8巻、秋玻と春珂が四季に結論を伝える前にこんな場面がありました

 

「友達に、みんなに、渡したいものがあるの。」

 

これは春珂が考案したアイデア

それが軸になると思われます

そのアイデアってもしや…?

 

岬先生はこの作品の前に、「日和ちゃんのお願いは絶対」を完結させました

今後は、「恋は夜空をわたって」がメインになるのでしょうか…?

最後の8巻、楽しみです

 

そしてこの作品、アニメ化発表の可能性も僅かながらあると思う

完結と同時に発表すれば最後まで持っていけますからね

僕は僅かな可能性を信じます

 

7/15追記

最終巻の発売日が決まりました

来月です

 

遂に来ました・・・

どんな結末になるんでしょう