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アニメ、漫画、ライトノベルについて書くブログです

あの人が亡くなったあと、和也は・・・~「彼女、お借りします(18)」~

タイトル∶「彼女、お借りします(18)

作者∶宮島礼吏

カッコウの許嫁」と共にアニメ放送中のかのかり

こちらも久々の感想になりますが、この記事でも「カッコウの許嫁」感想から取り入れたメモ方式を採用しています※下準備に90分近く

 

かのかり2期のOPが本編知っている身としては「う~ん」だったり、実写化も「ちょっと何言っているかわからない」状態

本誌は更に凄いことになっているらしいですが、この18巻は前半がとにかく重いです

※前巻17巻の感想↓

 

anime-manga-lightnovel.hatenablog.com

 

 

  • 小百合との別れの前に

17巻の終盤、上映会会場の下見をしている最中に容態が急変した小百合

和也千鶴に、小百合に「本当のこと話さなくていいのか?」と問いかけても、本当のことは話したくない様子

それは18巻冒頭でも変わってません(数時間どころか数分も経過してないからな…)

 

17巻終盤で和也が「誰の為にもなってない」と話した通り、隠し通したことで誰も喜ばないのはその通り

でも言及するか決めるのは千鶴自身

その千鶴の考えは、

  1. 「話すことに意味はない」
  2. 「自己満足以外の何者でもない」
  3. 「聞こえているんだったら悲しませるだけ」

総括すると小百合にメリットがないということ

 

これも一理あります

嘘をバラすことで小百合にメリットがあるかと言われたらありません

得するのは千鶴だけじゃないでしょうか

罪悪感から抜け出せるくらいしか利点はないんです

 

むしろ今の千鶴の心残りは小百合に映画を見せることが叶いそうに無いこと

小百合は映画を見ることを楽しみにしていた

孫の晴れ舞台を見ることを

でもその前に亡くなりそうではもう見られない…

千鶴の表情はとても辛そうです

 

そんな最中、和也が病室へ乱入

千鶴は困惑するなか、和也はプロジェクターをセッティングすると映画の上映をはじめました

 

これが17巻ラストで和也が気づいた自分に出来ること

応急処置のようなものなんで全編通して上映することは出来ませんが、一応小百合に映画を見せることはできています

小百合も短い時間とはいえ、目を開けて映画を鑑賞

 

結果、表情は笑っていました

このため、映画を見せることは一応出来ました

千鶴の願いは一応は達成されました

 

しかし千鶴の苦悩は続きます…

千鶴にとってあまりメリットもないし、小百合が聞いたら悲しんでしまう可能性もある

やっぱりメリットがないんですよね

 

それに千鶴は嘘を付くことも大事と考えています
「”女優”は 嘘を付く仕事」、「”幸せな嘘”はある」と考えているようですし

確かに時に嘘は必要です

傷つけないために嘘をつくことが求められる場面もありますから

 

でも小百合の考え方は異なります

それは学生の頃、千鶴は授業の遅刻を職員室の掃除と偽って帳消しに

しかも「女優は 嘘を付く仕事」なんて開き直っているのですが、小百合が千鶴に告げたのは、

 

「人の心はね99%の嘘と1%の真実でできてるのよ」

 

これなんのことかわからない方もいるでしょう

 

僕なりに解釈すると人間は本音よりも建前のほうが多いということ

真実をさらけ出せず、偽りながら生きているんです(小百合も似たようことを話しています)

だからフェイクだらけの世界なんですが、それは真実を守るための行為

その守られている真実のほうが小百合は好んでいるんです

 

「たった1つの真実を表現できるなら99個の嘘をついたって構わない 演技の本質はむしろ そっちにあるんじゃないかと 思ったりする」

 

なんてまさに役者の考え方でしょう

その答えが千鶴を更に苦しめてしまいますが…

 

しかしその時、小百合は意識を取り戻します

千鶴は「奇跡が起こった!!」と考えたのでしょうか

ナースコールを試みましたが小百合は静止

これが意味するのは紛れもなく、お別れの時期が近いということです

 

後悔を残したくない千鶴がやるべきことは無論、和也との関係

でもこういうときに限って、人ってなかなか言葉が出ない…

人間ってなんで不器用なんでしょう

 

それでも小百合は千鶴を攻めません

「可愛い孫(あなた)が選んだ答え…なら…どちらでも…いいわ」と肯定してくれますし、

 

「日々 迷い 悩み… 苦しみ… それでも考え続けることが… ”生”への唯一の誠実さよ そんな生き方ができる女性に育ってくれた それだけで私は十分幸せ…」

 

とどんな苦難が立ちはだかろうと考えながら生きていく

そんな人間に千鶴が育ったことを喜んでます

 

人生は壁だらけ

ただ呆然と立っているだけでなく、乗り越えようとしてくれることを喜んだのと思われます

 

そして映画を見せてくれたことへの感謝、千鶴への愛、「宝物」と評して、千鶴も小百合に「大好き」と伝えて、小百合は亡くなりました…

 

この展開、僕は知っていました

マガジンが表紙で盛大にネタバレやってくれましたもん

それもアニメ1期放送中にですよ!!

ブコメでここまで酷いネタバレはあまりないんじゃないでしょうか

 

小百合の死は作中の登場人物にも次第に伝わり、みにも号泣しますが、千鶴はこのあたりから悪い癖が出ています

ここまでこの物語を読んだ方なら千鶴は強い人物ではないことをお見通しでしょう

 

ですが、千鶴はやっぱり強がります

和也はこの時点で千鶴が弱い人間であることを知りません

故に「俺が思うよりも強くて…逞しくて…一人で生きている… すげー女」と思ったようですが、みには、

 

「一人で生きていける女なんて この世にいないっス」

 

と考えています

解釈次第では誤解を招くかもしれませんが、人の支えなしで人間が生きるのは難しいという意味ではないでしょうか

 

しかも和也も、「”理想の彼女”を演じてるみたいだった」と異変に勘付いています

だからこの時点で作中の結末はなんとなく読めました

 

千鶴って五等分の花嫁の中野四葉に少し似ているな…

中身は違うけどね、お互い支え棒が必要なんですよ

千鶴は精神的支柱が必要という意味になりますが

 

僕がアニメ2期のOPが合わないと考えるのは、このエピソードが原因です

小百合さん、今までありがとうございました…

  • 墨がくれたもの

小百合が亡くなった数日後、お通夜が行われ和也は和と共に参加しました

が、和也が帰宅して発した第一声は、

 

「知り合いのお通夜ほど メンタル削られるものはねえな…」

 

この作品の読者層がどんな感じか、僕は把握していません

でも30代以上の方ほど、和也のこの台詞に共感してしまうのではないでしょうか

僕もいずれそうなるんでしょうね

 

しかしそのお通夜、千鶴は和也曰く「鉄の女」状態でした

和也が和とともに参加した際、少し会話はしたもののなんというか、やっぱり心に余裕がないんですよ

繋がりが深かった家族がなくなり、遂に1人になってしまった

それも大学生が

この状況で屈強なメンタルを発揮できる方が見てみたいですよ

 

それから小百合の遺影を見た和也は泣くのを堪えてましたが、和は少し凝視する程度

 

「長いは迷惑じゃ 今に会える」

 

という台詞が全てを悟ってますね…

そりゃそうだよな…

 

また人生経験の長さからか、千鶴を「強い人」、「小百合さんを見ているよう」と表現したのが印象的

「どんな窮地でも弱音を吐かず 気丈に振る舞う」と具体的に話してましたが、それは似ていると考えるべきなのか?

 

そのうえで和は、

 

「考えろ 恋人(おまえ)にしかできんことは必ずある」

 

と言い残しますが、何をするべきか和也は分からない…

和也は千鶴に当然ながら何かしたいでしょう

ですが、どうすればいいのか

 

そうして悩んだ結果、和也が相談相手に選んだのはでした

描写を見るとレンカノで1時間借りたようです

速攻で墨が転倒したことには触れるんじゃない

 

ちなみに墨は17巻にも登場してますが、このとき会ったのはたまたま病院にいた千鶴

だから和也と会うのは映画のビラ配り以来

割と久々です

 

和也は墨が伝えたいことをおおよそ把握できるくらい親密になり、墨も和也が自分を相談相手に選んでくれたことをグッと来ているようです

茶店に入り、小百合の訃報を知ると一気に凹みましたが

※入店前に和也は「癒やされる」と言ってたので、一瞬で180度変わっています

 

墨は千鶴と親密ですし千鶴のことを心配しますが、和也が千鶴の今の状態を把握できない以上、墨に伝達は出来ません

何をすべきか分からなくて墨に相談していますから

 

するとここから墨は大胆な行動に出ます

茶店を出たあと(無銭飲食はしていません)、いきなり新宿駅に移動し、湘南新宿ラインに乗車して海に行くことを提案し出したのです

 

これに関して墨はスマホで「悩みには 海が効く」

あのー、どこのヒーラーさんですか?

海ってそんな効能あるの?

和也も当然困惑してます

 

しかしこれは墨なりに考えた行動の結果

 

「私もちづるちゃんの為に…何かしたい…」
「ここからは”お友達”…」

 

と口頭で伝えていることから、その決意の大きさが分かるのではないでしょうか?

ちなみに湘南新宿ラインに藤沢行はほとんどありません

大体、平塚か小田原止まりです

 

というわけでグリーン車で藤沢へ(よくそんなお金あったな)

目的は海ですが、作中は9月後半なので遊泳禁止でした汗

いつの間に9月後半だったのかこの作品

 

海で悩み解決に貢献したかったのでしょう

墨の凹み具合は露骨です

 

ですが、墨はここで立ち止まらず今度は展望台(江ノ島シーキャンドル)へ

それも江ノ島エスカー(ASIAN KUNG-FU GENERATIONの曲にもありましたね)を無視していきました(笑)

あの距離を階段って相当キツイような…

和也がヘトヘトになるのも至極当然

墨は元気ですが

 

しかしながら展望台から見る湘南は絶景

墨があまりに可愛いので目立ったりもしますが、なんやかんやで楽しめています

近くにいた女子高校生が「ヤッホー!!」と叫んでいたのを墨が真似ようとしたくらいですし(出来ないのはお察し)

藤沢はしっかり満喫できているようです

高校時代に帰りたい

 

そして最終的に海に戻って来たわけですが、墨が1人で水掛けを始めたあと、結局和也も墨に促されて水掛けを実行

和也は悩みを忘れ、童心に戻って楽しんでいるかのような1日を送っていました

 

こうして和也は墨と共に1日を満喫できましたが、このように墨が和也を楽しませた目的は、

 

「前向きは笑顔から」
「私には何も出来ないから」
「苦しんでいる人には遊んで楽しんで欲しい」

 

と苦しいときこそ、楽しんで欲しいという目的があったのです(なおこれらのセリフは砂浜に直接書いています)

前を向くためには笑顔が大事

ネガティブな状況では何も進展しませんから

だからこそ1日藤沢を満喫してもらうことで楽しんでもらったというわけです

 

お互い楽しめたので、墨も嬉しそうな顔をしていました

そのうえで千鶴に関しては、「悩む気持ちも分かるけど」「まっすぐに励まされて 嬉しくない女の子なんて いないと思うな」と書き、「ちづるちゃんの気持ちは ちづるちゃんにしか分からない」と置いたものの、墨は、

 

「私なら嬉しいなっ」

 

と口頭で伝えて、満面の笑みを見せました

 

これは僕の私見ですが、放置されるのと言葉をかけてくれるって大きく違います

千鶴が後者とは限りませんが、僕もやっぱり励ましていただいたら嬉しいです

 

こうして和也は吹っ切れました

 

「悩んで 励ませず仕舞いなんて 本末転倒じゃねーか!!」

 

 

和也は墨に「最高のデートだったよ!」と伝えました

初期の墨と飛鶴すると、大きく成長しましたね…!!

  • デート前夜

墨とのデートから数日後

和也はカラオケのバイトに励んでますが、そのバイト先といえば、るかもいる

るかも小百合が亡くなったことを和也の口から知ることになりました

 

るかも励ましたいようですが、家族のことだから慎重

しかもるかも千鶴が不器用だって気付いています

もしかしたら千鶴って案外、自分の性格が外にバレていることを知らないのかもしれませんね

じゃないとあんなに強がりませんし

 

しかし、るかは

 

「でも私なら素直に励まして欲しい」

 

完全に和也のスイッチを押す手助けをしてしまったようです(笑)

1度スイッチを押した人間を止めるのは簡単ではありません

自爆…ではないかな?

 

そのため、今回るかは静止を断念しました

いつか遊園地デートすることを条件に

まあ、でもるかが和也に惚れったのって「情熱的な部分」だし、止められないと悟ったのかもね

 

そして和也は来月のシフトを多く入ることを条件に、給料を前借りすることにしました

なぜって?

千鶴と最高のデートをするために決まっているじゃないですか!?

 

というわけで激動の18巻でした

次巻19巻のエピソードは4巻の時点で構想があったエピソードとのようですが、和也は千鶴を立ち直らせることは出来るのでしょうか?

 

なおこの感想執筆、これまでの倍以上に時間を要しています

途中でコラム挟みながらサブカルブログ続けていく所存です

よろしくお願いします

 

あーあ、PVが怖い※カッコウの許嫁の感想が投稿される前に下書きが終わりました(笑)