ヒロイン攻略のパートナーはヒロイン!? 〜「世界一かんたんなヒロインの攻略しかた」感想〜
タイトル:世界一かんたんなヒロインの攻略(おと)しかた
作者:織笠遊人
イラスト:さばみぞれ
今年に入ってから新人作家の作品を購入することが増えてます
まもなく2巻が刊行される「声優ラジオのウラオモテ」、コミカライズがまもなく開始する「シンデレラは探さない」
2作とも面白かったですが、その2作に匹敵…もといそれらを凌駕してしまうかもしれない作品がファンタジア文庫から現れました!!
- 憧れのヒロインが目の前に?
事の発端は主人公にしてそこまでカーストは高くないモブこと早乙女乙綺と学園のアイドル的存在である姫野実衣奈が階段で事故ってしまったことから
交わることのないと思われた実衣奈と接触したことで実衣奈の素の人格が体から抜けて思念体となってしまったのです(一応実衣奈は行動できている)
こういったケースは接触した当事者にしか見えないので実衣奈の思念体(乙綺はミーナと呼んでいるのでこちらもミーナ表記に)を見えるのは乙綺のみ
ですが、ミーナは乙綺の心とリンクしている状態なので、乙綺の思考はミーナに筒抜け
終始ボケとツッコミが成立するカオスな状態になります(笑)
しかもバドミントン部のエースとして活躍する実衣奈の本当の姿は大のギャルゲー好き!!
バドミントン部強豪校からお誘いが来るもののその高校が寮制のため、ギャルゲーを優先する筋金入りです
その上堂々と放課後に秋葉原で堂々とギャルゲーを購入しにいく…
実際に買われる女子高生はいらっしゃるのでしょうか?
乙綺はミーナから本人を尾行にするように言われ、尾行した結果この事実を知りますが、そりゃ驚くよね…
しかし人体から本来の性格から抜けるということは早期解決しないと間違いなく影響が出る
そのため、ミーナを実衣奈に戻すため乙綺は行動するというわけです
まあ、本当の実衣奈を知るミーナが側にいるので攻略は楽勝!!
と思われますが…
- 攻略難航!!
しかし冷静に考えてみましょう
いくら攻略用のデータが備わっていたとしても実行できなければ意味がありません
そう、乙綺は典型的な人見知り
なので、高嶺の花的存在である実衣奈に話しかけることさえ難しいのです
わかる人には分かると思うけど
僕も大学までかなりの人見知りでしたから…
加えてミーナはギャルゲ脳なのかやたら「好感度UP」やら「○○ルート入ったよ〜」といった言葉を使ってくる
作中、乙綺が
「ギャルゲーを楽しむことが出来ないからこっちで楽しんでいるんじゃないか?」
と言う場面がありましたが強ち間違ってないような…
その上でミーナも予想してなかった行動を実衣奈が取るため、攻略は簡単に進まないのです
それでも乙綺は偉いんですよね
ミーナの助言を受け入れて数学の成績を向上させたり、間違えて挙手してしまったとはいえ文化祭の実行委員をしっかりこなしたりと
やれば出来る人なんです、乙綺は
それは同時に彼が変わろうとした成果でもあります
そうした動きもあってか、遂に実衣奈と映画館デートをするまで持っていくのですが、象徴的なのが実衣奈が学校の同級生に出くわしてしまったシーン
実衣奈はアニメも好きなのですが、そうした趣味は学校では隠しているため、それを見られてしまうと当然動揺してしまう
でもそれを乙綺が庇うんですよ
「自分が誘った」ということにして
こういう行動は簡単に取れません
学校中で馬鹿にされる可能性もありますから…
ほんとカッコいいわ…
で、こういう行動取られたら当然好感度も爆上がりする訳ですが
- え、そっちも?
問題はミーナが実衣奈に戻る条件
それは接吻です(汗)
どこの童話だよそれ
そんなこと言われたら行動に躊躇するのも当たり前ですが、文化祭当日に乙綺は覚悟を…
ただいざ行動を起こそうとした当日、乙綺は実衣奈に呼び止められるのですがそこで実衣奈にも乙綺の思念体が発覚(笑)
要するにミーナの想定外の行動は乙綺の思念体が原因だったということ
乙綺も素の性格が抜けていたんかい(笑)
まあその後接吻しますけど
ただ気になっていたのは一緒に過ごした日々が消えないか
昔ジャンプで連載していた「鏡の国の有栖川」は告白した後、これまでの記憶が消えてしまいました
でもこの作品は…!?
実を言うと作者の織笠先生は両脚が不自由になったことをきっかけに執筆を始めた方です
今回、晴れて受賞しデビューすることになりましたがこの設定は今までありそうでなかった気がする
昔ジャンプで「パジャマな彼女」というヒロインが幽体離脱する切ないラブファンタジーがありましたが、思念体として一緒に行動する設定は初めて聞きました
ギャルゲーでもあまりないのではないかな?
恐らくここから設定を膨らますのは厳しいので単発、あるとすれば視点を実衣奈の視点に変更したアナザーサイドの出版でしょう
それにしてもやっぱりラブコメが勢いを取り戻しつつあるな…
「三角の距離は限りないゼロ」に「青春ブタ野郎」シリーズ、「継母の連れ子が元カノだった」、僕も既に入手した「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされた件」とラブコメのヒットが続いてます
もしかしたらこの作品、続編制作されるかも…
ファンタジア文庫からすればコマは多い方がいいだろうし