決断と決断 〜「三角の距離は限りないゼロ 5」感想〜
タイトル:三角の距離は限りないゼロ 5
作者:岬 鷺宮
イラスト:Hiten
岬先生、まさかの2冊同時刊行!!
「三角の距離は限りないゼロ」が5巻発売前に20万部を突破し、6月にはコミカライズ2巻も発売という波に乗っている岬先生がここで仕掛けてきました!!
同時刊行の「日和ちゃんのお願いは絶対」も購入しましたが、まずはいよいよ後半に突入した「三角の距離は限りないゼロ」の5巻から
- 決断の時期
前巻で共存の可能性を模索しはじめ、秋玻や春珂の2人を平等に愛する状態となった四季
文化祭直後の空っぽ人間状態からようやく脱出できたこともあり、秋玻達と迎えた初詣は楽しそう
同時に彼女が一度もいない僕からすると嫉妬する光景ですが(←無視してください)
しかし新年を迎えたということは進級が近づいており、四季達は2年なのでいよいよ本格的に進路を模索する時期でもあります
そんな彼らの進路ですが、
伊津佳:小学校の先生
修司:父親の会社に就職すべく理系の学科へ
秋玻:音楽関係のライター
時子:出版社に就職
晃:バーテンダー
晃よ、何があった(「読者と主人公のこれから」でもそんな描写は一切ありません)
ただ四季はまだはっきりと進路を決断できない様子
そもそもこの時期に決断できている方が凄いんだよなー
僕も高校時代、具体的な未来予想図を描けずにいたし
先日「君死にたもう流星群」の感想執筆しといてあれですが、僕も夢ありませんでした…
更に2人を平等に愛することに四季は違和感を抱きはじめていて…
- あの2人が遂に本編登場!!
そんな四季の状況を手助けしたのが百瀬と時子
時子が町田書店の職場体験をすることになっており、読書が趣味である四季を誘ったのです
なお時子と晃の関係は更に親密になっているらしい…
「読者と〜」を刊行当時、手に取った読者はこうなることを予想できたでしょうか?
で、町田出版といえば時子の姉である柊ところの作品の出版元でありますが、職場体験の案内をするのはあの野村九十九!!
「読書と〜」ではちょこっと出た程度ですので、ストーリーに大きく関わるのは「失恋探偵ももせ」以来
まあ九十九、柊ところの担当編集ですからね〜
彼が登場するのは必然でしょう
…既に百瀬と結婚していることはほぼ公になっているので春珂による質問集中砲火を食らうことになりますが(笑)
途中からは作者と編集のやり取りを見せるべく、ところも参加(なお時子と晃は度々ここを訪れているとのこと)
ところは「良いところ見せるからね〜!!」と相変わらず時子と親密な様子でしたが、やり取りが始まると雰囲気はもう「バクマン。」そのもの
ところと九十九が作品を巡って激論する事態に(汗)
より良い作品を作るためにはお互いの意見をぶつけるのは避けて通れない
でもキャラのリストラを提案することあるんですね…
作者からしたらそれを提案されたらたまんないよな…
キャラクターは可愛い子供だもん
簡単には決められないよね(汗)
結局、今回のやり取りはところが一旦退散する事態になったのですが、まさかこの2人が本編に登場するなんて岬先生の過去作読んだ方からするともう歓喜!!
- 四季の決断、そして…
ただその一方で四季は悩んでました
進路をどうするか
加えて秋玻や春珂との関係をどうすればいいか
そんな四季を救ったのが九十九
ところとのやり取り(新キャラのモデルを探すため、流石は時子や晃をモデルにした作家…)に同席させることで彼の本音を引き出そうとしたのです
その四季の本音は「置いてきぼり」
そりゃそうだよね…
周囲は将来に向けて歩み出しているのに自分だけが決断できていない
コンプレックスを感じないわけないよ
しかも先日のところと九十九のやり取りを見てたら尚更…
要は四季は自信がなくなっていたんでしょうね…
ただ、ところにはこれが突破口になったようで九十九の作戦は成功
更に四季のなかに眠っていた出版社で働きたい気持ちを掘り起こしたのです
しかも「ここで働かせてください!!」まで
こういう職場経験出来る環境が羨ましい…
でも九十九が四季に与えていたアドバイスは、
「もう少しー矢野くんはぼんやりしてみてもいいんじゃないかってこと。決めるべきときがくれば自然にそういう風になると思うしーそれまでは、あまり焦らない方がいいんじゃないかな」
すいません、まさか九十九がこんな名言話すようになるとは思いませんでした
でも焦りは禁物、一理ありますね
本人の努力次第ではあるけど可能性は1つじゃない
色々な方向を高校時代は模索すべきなんでしょうね
なおこの時、九十九は百瀬の学生時代を四季に見せています
7年ぶりの「失恋探偵ももせ」だ!!
町田出版での経験は四季にとって大きな経験となり進路も見つかりつつある状況に
そして秋玻と春珂もある決断を…
このシリーズはシリアス色が濃い作品ではありますが4巻に続いてコミカルテイストが強い巻になりました
まさか柊ところと九十九がこんなにストーリーに絡んでくるとは思いませんでしたよ!!
九十九に至っては挿絵付くの7年ぶり!!
岬先生の過去作を読んだ方はもう楽しくてしょうがなかったと思います
自宅に届いて、仕事休みに読もうと思ったらそうはならず久々に新刊購入後即読破となってしまいました(笑)
何年ぶりでしょう…
まさか再びギリギリな描写が出現するとは思わなかったけど(汗)
そのうえでこの巻からいよいよ秋玻と春珂の過去に迫っていくようになるのですが、今後の伏線が2つ出てきました
1.何かを匂わせる小学生期
この巻で秋玻は四季と共に過去の写真を見ていたのですが、小学生期になると写真に異変が起こります
写真の取り方が変化したこと
更に母親が映らなくなったのです
小学生期に大きなストレスを抱える出来事があって、春珂が生まれたのはもう周知でしょうが、もしかして離婚か一時別居したのか?
人間って絶対に癖がある生き物で例えば僕の場合、食事をするとき必ず野菜から食べるようにしています
それと同じように写真を撮るときもある程度癖が出る
ということは写真を撮った人間が変化した→離婚か一時他の人間が手助けした可能性が濃厚になります
「いずれ話す」と秋玻は四季に伝えましたが、ここは確実に物語のキーポイントになりそうです
2.こっちゃん!?
並びにこの巻では秋玻、春珂の母と四季は遂に対面
秋玻と春珂に多くの友人が出来たことを彼女は喜んでますが帰り際にふと「こっちゃん」と読んでしまったのです
これが秋玻の本当の名前のヒントなんでしょう
1巻から出ていた××が明かされる時は近づいてきました
更に僕は大きな誤解をしてました
それは必ずしも春珂が消えるわけではないということ
…そのまさかもあり得るってことですよ
その上で僕はこのシリーズ、8巻で完結すると思ってましたが、岬先生のTwitterによるとどうやら巻数が伸びるようです
尺が足りないと判断したのでしょう
僕としては完全燃焼で物語を完結させて欲しいので岬先生の判断を尊重します
6巻は秋に刊行予定とのこと
いよいよアニメ化発表かな…?
そしてコミカルなエピソードが続いたから反動が怖い…
なおこの巻、あとがきが終わっても本を閉じないように
あの2人のやり取りが久々に読めますよ!!
追記
どうやらカクヨムで単行本化されてないエピソードが幾つか読めるとのこと
今後、短編はカクヨムに掲載されるようになるんでしょうかね…