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おとぎ話のようでおとぎ話ではない物語 〜「シンデレラは探さない。」感想〜

タイトル:シンデレラは探さない。

作者:天道 源

イラスト:佐伯ソラ

シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:天道 源
  • 発売日: 2020/04/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

シンデレラは探さない。 (講談社ラノベ文庫)

 

先日紹介した「声優ラジオのウラオモテ」は電撃文庫では異例の猛プッシュがかかっていると話しましたが、講談社ラノベ文庫からも新人ではありませんが(作家の天道先生は以前斎藤ニコ名義で作品を発表しているため)、いきなりコミカライズが決まっている作品を見つけました

タイトルは「シンデレラは探さない。」

試し読みせずに購入した表紙買いの作品になります

 

この物語の主人公である荒木陣(以下陣)は母親を亡くした高校生

父親が多忙なため、妹であり今年から小学生である舞が病気になった際は陣が看病するために学校を休んだりしているわけですが、その看病中に訪れたのが真堂礼

この作品の表紙に描かれている人物であり、シンデレラとは彼女のことです

 

…といってもおとぎ話のお姫様みたく優雅な衣装を着ているわけではない

この作品の冒頭で舞が50階立てのタワーマンションを「お城みたい!!」というシーンがあって舞はそこに住んでいる人物をお姫様や王子さまと思い込んでおり、礼もそこの住民

なので勝手に舞からはお姫様という認識になっているようです

幼さ故の純粋さってやつです

 

礼はタワーマンションに住んでいることから「お姫様」と称されたり、学校では「アイドル」扱いされているのですが、実際は普通の女の子

最初は「謝罪」と称して陣のいるアパートを訪問したりするのですが、次第にクールのように見えた彼女の言動は柔らかくなっていきます

そんな感じなので徐々にに陣と礼は親密に

更に礼は亡くなった母親に似ていることもあって舞は礼になついていくのです

ただ、この2人は複雑な事情があって…

 

ちなみにタワーマンションというと僕には真っ先に砂の塔というTHE YELLOW MONKEYが主題歌を担当したミステリードラマを思い出す

  • 2人の複雑な事情

まず礼から

礼は一応母親は居たのですがとある金持ちと結婚した末に亡くなり、その金持ちにも再婚する際に「一人暮らしに慣れておくといい」を口実にマンションを与えられた変わりに半ば捨てられてしまったも同然

ちなみにそのマンションが今のタワーマンションなんですが、一億超えです

羨ましい…

 

そういうことや周囲からの視線が嫌になっていて、礼はほぼ人間不信状態

そんな彼女を救ったのがタワーマンションに移住する前に出会った陣だったのです

でも陣は礼を救う言動や行動を行ったわけではない

自然に接したことが礼を救ったのです

そこから礼は陣を気にするようになったというわけです

なおタイトルの「シンデレラは探さない。」の理由はここで明かされていますが、そこは本をとってからのお楽しみということで

 

一方の陣

母親が亡くなった後、陣の考え方は次第に「妹を、守ることが一番」になってました

それは「人に助けてもらえるのは、最初のうち」と悲観的な見解をするようになってしまったからです

だから自分のことをほとんど考えない

要するに自己犠牲を厭わない人間になったしまったのです

作中で彼がボランティア的役割をする描写があるのですが、それは自己犠牲精神から発展したもの

 

ただそんな彼の生活に限界が迫ったのが父親の肺炎

冒頭から父親の存在に言及されていたものの何故か出てこない

それこそ作者の作戦ですがこれには恐れ入りました…

そういうことだったのね…

 

おまけに妹の舞が病気になってしまい、焦燥や絶望が重なっているなかで現れたのが礼

礼が陣の世界を変えていったのです

救ってくれたお礼を返すかのように…

お互いがお互いを救う

素晴らしい関係じゃないですか…

ここで物語が終わっても問題ない

…のですが、ここまではweb版にも掲載されていたもの(作者曰く加筆や修正はしている模様)

web版に収録されてない新作書き下ろしが80ページ近くあります!!

 

その書き下ろしで肺炎で倒れていた父親が合流してくるのですが、ここら辺から礼がより感情豊かになっていきます

「カノジョ」という言葉に反応したり、「お嫁さん」という言葉で真っ赤になったり(笑)

ここを漫画で見るのが今から楽しみな内容

同時に3人から4人家族のように変化していく光景

読んでいて落ち着くこと間違いないです

 

…なんか内容に触れてない気がしますがスルーを←

 

本当だったら試し読みして購入する予定だったんですが、残念ながら予約する時点では試し読みが出来ず新刊では久々に試し読みせずに購入した作品になりました

時間がない方でもサクサク読める作品ですし、今後の展開次第ではメディアミックスに期待できそう

 

言葉にするのが難しいけど心暖まる素敵な物語でした

web版見たらストックが後3、4章あるようなのでシリーズ化に期待できると思います

なお、筆者が講談社ラノベ文庫の書籍を購入するのはアニメ化された「彼女がフラグを折られたら」以来です(笑)